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東京五輪で第九を 夢の地球合唱団、17日「序奏」

練習で、名古屋市民コーラスのメンバーを指揮する柳沢寿男さん=1日、名古屋市東区のウィルあいちで(太田朗子撮影)

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 民族対立が根強く残る旧ユーゴスラビアで民族間の懸け橋として活動する「バルカン室内管弦楽団」と、名古屋市の合唱団「名古屋市民コーラス」が十七日、市内でコンサートを開く。同管弦楽団の指揮者柳沢寿男さん(47)=長野県下諏訪町出身=は、二〇二〇年東京五輪に向け、世界の全ての国と地域からメンバーを集めた「地球合唱団」をつくり「音楽で世界を一つにする瞬間をつくりたい」と夢を抱く。名古屋でのコンサートは実現に向けた一歩でもある。

 ピアノ伴奏に合わせ「第九」の歌声が流れる。「ここはもう少し声につやを出して」。柳沢さんの指示に市民コーラスの団員が応じる。一日午後、同市東区のウィルあいちでの練習に約百八十人が集まった。

 愛知県内の中高年が中心の市民コーラスは、一三年の演奏会で柳沢さんを指揮者に招いたのを機に親交を深め、翌年同管弦楽団と名古屋で共演した。「音楽を通じて平和を訴える理想に共感している」と市民コーラス団長の伊藤市朗さん(66)。楽団と柳沢さんへの応援に心と歌声をそろえる。

 バルカン室内管弦楽団は、〇七年に旧ユーゴ・コソボのコソボ・フィルハーモニー交響楽団の首席指揮者に就いた柳沢さんが呼び掛け、同年設立した。名称は旧ユーゴスラビアを含む欧州南東部のバルカン半島から付けた。

 応じたのはアルバニア人、セルビア人、マケドニア人、ボスニア人ら。一九九〇年代の民族紛争による敵対心や不信感が残る中、対立の最前線だったコソボ北部の町で演奏会を開くには、警察の厳重な警備が必要だった。「中立的な日本人だからこそできることがある」。そんな思いで、柳沢さんは腕を振り続けてきた。

 今、情熱を傾けるのが東京五輪に合わせた「地球合唱団」の実現。世界の約二百の国と地域から最低一人ずつ集め、平和や統合の象徴とされるベートーベンの交響曲第九番(第九)を歌う構想だ。十一年に及ぶバルカン室内管弦楽団での経験で「直接会って同じ空気を吸えば互いに同じ人間なんだとわかり合える」との信念を得て「国、民族、宗教を超え、同じ時に地球で暮らす『世界市民』の意識を広げたい」と語る。

 実現すれば地球合唱団の中核になって支える名古屋市民コーラスとの公演は二〇年に向けた序奏ともなる。さらに試行的な取り組みとして、二十三日に長野県岡谷市の市文化会館で開かれる同管弦楽団のコンサートでは、県内の全七十七市町村の住民でつくる合唱団が第九を歌う。

 十七日のコンサートは名古屋市中区の日本特殊陶業市民会館で。第九のほか、メンデルスゾーンの交響曲第四番「イタリア」を演奏する。

 (宮本隆彦)

 

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