トップ > 一面 > 記事一覧 > 記事

ここから本文

一面

重力変化でレタス増量 トヨタ紡織が試験成功

起潮力を活用して育てたレタス(右)と通常栽培のレタス=静岡県内で

写真

 トヨタ自動車グループの内装部品メーカーのトヨタ紡織(愛知県刈谷市)は、月と太陽の引力や天体間の遠心力の変化が、植物の生育に影響を及ぼす現象を発見した。植物工場での試験で、重力がわずかに変化する周期に合わせて、植物の生育に最適な光の環境をつくり出すことで、レタスの重量を通常よりも最大で平均24%増やすことに成功した。この分野の研究は世界的にほとんど例がなく、6月にフィンランドで開かれた国際会議で発表した。

 生育への影響が確認されたのは、月と太陽が地球に及ぼす引力や、天体間の遠心力によって生じる「起潮力」と呼ばれる力。天体の位置関係で常に変化しており、潮の満ち引きを生み出すほか、重力や気圧の変化をもたらしている。

 同社はこのうち、地球上のどこでも重力が一定の周期で上下する現象に注目。変化の幅は、人は感じず、日常生活に影響のない程度だが、チンゲンサイやシロイヌナズナなどで実験を繰り返した結果、重力が下がっていくタイミングに施設の照明を消して夜の環境をつくると、成長が良くなることを確認した。

 同社は内装材の一部に一年草のケナフを使用しており、品種改良など植物分野の研究を重視してきた。今回の発見もケナフの効率的な栽培法の検討がきっかけで、引力などの変化に着目。二〇一三年から野菜などでの研究を本格化させた。

 一六年からは植物工場を手掛ける小林クリエイト(同市)と共同で、レタスの試験栽培に着手した。重さは品種で違いがあり、最大で24%、少なかった品種でも9%増えた。大きさは見た目でも分かるほど変化があったほか、みずみずしさが増して日持ちが良くなったという。

 ただ、現時点では現象面の確認にとどまる。葉の裏側にある気孔の働きや細胞の水分の状態、気圧などさまざまな要因が考えられ、新領域開拓部の田畑和文グループ長は「今はいろいろな仮説をつぶしている段階で、解明には少し時間がかかる」と話す。

 将来的に植物工場などでの本格利用も視野に入れるが、当面は基礎研究を重視する。鬼頭修専務理事は「原理が解明されれば、世界の食糧不足問題にも貢献できる大きなテーマだ。情報をオープンにして、研究の仲間を募ることを検討している」と話す。

 (鈴木龍司)

 <起潮力> 月や太陽が地球に及ぼす引力と、地球と月、太陽の遠心力を合わせた力。月に近い側は引力が強く、裏側は遠心力が引力を上回る。このため、地球は両側に引っ張られるように伸び、両側で満潮になる。重力や気圧も変化する。農業では「種まきや交配は満月の大潮に」などの言い伝えがあり、植物の生育と起潮力との関係性が指摘されてきた。

写真
 

この記事を印刷する

中日新聞・北陸中日新聞・日刊県民福井 読者の方は中日新聞プラスで豊富な記事を読めます。

新聞購読のご案内

PR情報

地域のニュース
愛知
岐阜
三重
静岡
長野
福井
滋賀
石川
富山

Search | 検索