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<解説> 写真ネガ開示が捜査信用性崩す

 もともと阪原弘元受刑者を犯人と結び付ける直接証拠はなく、自白を支える証拠を軸に有罪認定された事件。第一次再審請求までも、捜査結果と自白内容が異なっているという指摘はあったが、元受刑者の特性や記憶の減退などを理由に退けられてきた。

 今回の再審請求審では、検察側から開示されたネガフィルムが捜査の信用性を崩すきっかけとなった。弁護団によると、ネガが開示されていなければ早期に結審し、棄却されかねない状況だったという。再審請求で法制化されていない証拠開示が行われたのは一つの成果だ。

 決定では、暴行や脅迫で自白を引き出した捜査の不当性も認定した。滋賀県内の事件では昨年十二月、自白の誘導があったとして「呼吸器事件」が再審開始になっており、自白偏重の捜査を疑わざるを得ない。自白の強要を避けるため、取り調べ時の全面可視化や弁護士立ち会いも必要だ。

 もし、元受刑者が生きていたら、再審開始を認めた決定をどう受け止めただろうか。本人は生前、一次請求審の意見書で無実を訴え「家族と一緒に暮らせるようにしてください」と自筆でつづっていた。

 だが、元受刑者は他界し、願いはかなわなかった。事件発生から今年で三十四年、病死から七年。三人の子どもたちは、逮捕された当時の年齢(五十二歳)を超えた。再審開始の決定まで時間がかかりすぎた。

 (大津支局・成田嵩憲)

 

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