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ダム放流量、基準の6倍 4人犠牲の愛媛・大洲

基準量の約6倍に当たる水が放流された鹿野川ダム=9日、愛媛県大洲市で

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 川の氾濫で広範囲が冠水し、住宅に浸水するなどして四人が犠牲になった愛媛県大洲市。安全とされる基準量の約六倍に当たる最大毎秒約三千七百トンの水がダムから放流された。治水の担当者は「予想を超えた雨量だった」と話すが、住民からは「ダムの操作は適切だったのか」と疑問の声が上がっている。

 同県西予市から大洲市を経て、瀬戸内海へ流れる肱川(ひじかわ)の上流にある鹿野川ダム(大洲市)。安全とされる放流量の基準は毎秒約六百トンで、超えると家屋への浸水の可能性があるとされている。

 大洲市などによると、台風7号が九州に近づいた三日から基準の約六百トンを上限に徐々に放流を開始。七日午前五時半には雨量が増し、上限を毎秒約八百五十トンに引き上げた。午前七時すぎにはゲートをほぼ開いたままにせざるを得ず、午前九時ごろ川の水が堤防を越え始め、放流量は最大毎秒約三千七百トンに達した。

 肱川中流に位置する市中心部などの約四千六百世帯に浸水し、住民は家の二階や屋根の上に一時取り残された。車に乗ったまま流されたり、自宅に水が流れ込んできたりして四人が死亡し、水源も被災。九日時点で断水が続いているのは約一万世帯に上り、約二メートルの高さまで浸水した一部のコンビニやスーパーは営業のめどが立っていない。

 同市菅田町菅田の農業谷岡和男さん(67)は「育てた野菜も全て駄目になった。こんな被害は初めて。ダムの放流量が多過ぎたのではないか。事前にもう少し調整できたのでは」と話す。

 大洲市治水課の担当者は「雨量が多過ぎてダムの容量を超えた。やむを得なかった」と説明。管轄する国土交通省水管理・国土保全局の担当者も「ダムの操作は工夫していたが、想像を超えた雨量だった」と述べた。

 石井啓一国交相は十日の記者会見で、さらに上流にある野村ダムからの放水量を増やした操作について「適切に対応した」との認識を示した。

 北海道大大学院の山田朋人准教授(河川工学)は「ダムの容量を超えると予測される場合は、情報収集に努め、避難を早めに促すことが大切。自治体ごとに状況は違うので、河川の改修や堤防の整備など複合的な対策が必要だ」と話した。

 

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