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<出発進行> 四日市あすなろう鉄道(5)

車窓から見える石油化学コンビナートの工場の煙突=三重県四日市市の四日市あすなろう鉄道・日永−南日永間で

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◆風船消えて澄んだ空

 昔、赤い風船が毎日のように空を漂っていた。三重県四日市市小古曽(おごそ)一の主婦鈴木公子(たかこ)さん(76)は、よく覚えているという。

 自宅は、四日市あすなろう鉄道小古曽駅そば。風船は、近くの丘にあった気象庁四日市測候所が飛ばしていた。開設された一九六六年から九二年まで毎日、風船で風向と風速を調べた。

 測候所誕生の契機は「四日市ぜんそく」。高度経済成長期の六〇年ごろ、臨海部の石油化学コンビナートの工場から排出されるばい煙の影響で、ぜんそく患者が出た。国が派遣した現地調査団は、実態把握には風を調べる必要性があるとして、気象観測施設の設置を唱えた。

 「くすんでいた」と鈴木さんが語る当時の四日市の空。工場からの排出規制が厳しくなり、変わっていった。測候所は合理化の一環で、九七年に廃止された。

 測候所跡には今、一戸建て住宅が並ぶ。小古曽の駅からあすなろう四日市行きの電車に乗ると、沿岸部は進行方向右手の方角。晴れた日には窓から、澄んだ青空に伸びる煙突が見える。

 (文・曽田晋太郎、写真・大橋脩人)

 ◇ 

 四日市あすなろう鉄道の連載は今回で終わります。次は、名鉄三河線です。

 

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