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スケート小平は古武術で進化 「メダルの先」に照準

平昌五輪に臨むスピードスケート女子の小平奈緒=江陵で(共同)

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 【平昌=原田遼】スピードスケートの小平奈緒(相沢病院)にとって、短距離二種目の金メダルが懸かる五輪が幕を開ける。優勝候補筆頭の強さの裏には、日本の古武術がある。メダルを逃した前回のソチ五輪後、本格的に指導を受け、独自の練習法で今季無敵の強さを身に付けた。日本選手団主将の重責も担う三十一歳に気負いはない。

 目標を聞かれても「メダルを目指す」とは決して言わない。「順位は私がどうこうできるものではない」といつも笑って受け流す。

 信念がある。「相手がいても、いなくても一緒」。滋賀県で古武術を教える高橋佳三さん(43)の言葉だ。

 古武術は古くから伝えられ、剣道や柔道などのもとになった。高橋さんによると、例えば腕を相手に捕まれた場合、捕まれた場所を意識すると周辺の筋肉しか使えず、腕を動かせない。だが、無意識に伸ばしたい場所に向かって腕を動かすと、相手を振りほどくほどの力が生まれるという。

 ソチ五輪で小平は500メートル五位に終わった。「メダルがちらついた」という言葉をテレビを通じて知った高橋さんは大会後、小平に「順位やゴールの先にあることを考えた方が、力が生まれる」と助言した。

 小平が高橋さんと知り合ったのは大学二年のとき。当初は数年に一回、チームで指導を受けていた。あるとき、古い白黒写真を見せられた。六十キロの米俵を五俵かついだり、瓦を頭に乗せたまま、はしごに上ったり。昭和初期の女性の姿だった。

 人間の潜在的な能力に目を奪われ、ソチ五輪後、年に一度は個人指導を受ける。古武術の考えも練習に取り入れた。二年前からはウオーミングアップで一本歯のげたを履き、スケート姿勢で立つ。体の軸が定まっていないと動きを維持できない。あるとき、米国の五輪金メダリストが面白がって試してみたら、つんのめった。

 体を自在に動かせるようになり、スタートダッシュのタイムは年々上昇。昨季からの連勝街道へとつながった。金メダルの代わりに目標にしているのは「ゴール後の観客の笑顔」。金メダルは「集大成」でなく「通過点」として、ゴールの先まで駆け抜ける。

 

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