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アルツハイマー、少しの血で手軽診断 長寿研、高額手法と90%一致

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 わずかな量の血液で、認知症の一種であるアルツハイマー病の原因物質が、脳に蓄積しているかどうかを調べられる検査法を開発したと、国立長寿医療研究センター(愛知県大府市)や島津製作所(京都市)などのチームが31日付の英科学誌ネイチャー電子版に発表した。

 アルツハイマー病患者や健康な人を含む日本とオーストラリアの六十〜九十歳の男女計二百三十二人を対象にこの手法を使って調べたところ、従来の大がかりな陽電子放射断層撮影装置(PET)の検査結果と約90%一致した。チームは以前から開発を続けてきたが、今回、大規模な研究の結果、高精度で判定できることを確認できたとしている。

 原因物質の蓄積は発症の二十〜三十年前から始まり、蓄積がある人は症状がなくても将来発症する危険性が高くなると考えられている。この検査法を使えば、アルツハイマー病の診断が安価で簡単になるとしている。実用化には課題もあるが、将来、発症前にリスクを調べることにも使える可能性がある。

 アルツハイマー病の原因は諸説があるが、脳内にアミロイドベータというタンパク質が異常に蓄積するのが原因の一つと考えられている。蓄積の有無は現在、PETや腰に長い針を刺して脳脊髄液を採取する検査で調べているが、費用が高いことや患者の負担が大きいことが課題だった。

 チームは抗体と呼ばれるタンパク質を使い〇・五ミリリットルの血液からアミロイドベータ関連物質を分離し、ノーベル化学賞受賞者の田中耕一・島津製作所シニアフェローらが開発した質量分析技術を使って調べる検査法を開発した。関連物質は三種類あり、量の比率からアミロイドベータ蓄積の有無が分かるという。島津は今後、製薬会社や研究者向けに血液を分析するサービスを提供していく方針。

 長寿研の柳沢勝彦・研究所長は「将来、アルツハイマー病の治療や予防が可能になれば、この手法を高齢者の検診で広く使えるようになるかもしれない」と話している。

 <アルツハイマー病> 認知症の一種で、生活に支障が出るほど記憶力が低下したり、今日の日付や自分のいる場所が分からなくなったりする進行性の病気。20年以上かけて脳に異常なタンパク質が蓄積し、神経細胞が減って発症に至る。高齢の認知症患者は国内で500万人以上、2025年には約700万人に達する見込みで、アルツハイマー病はその6割以上を占める。発症後に進行を遅らせる薬があるが、完全に治す方法はない。運動し、頭を使うことが予防につながるとされる。

 

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