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古新聞から効率よく水素抽出 名大、CO2排出も抑制

古新聞から水素を取り出す新手法を説明する名古屋大大学院の日比野高士教授=名古屋市千種区で(太田朗子撮影)

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 「究極のクリーンエネルギー」として期待される水素を古新聞から効率良く取り出す手法を、名古屋大大学院環境学研究科の日比野高士教授(54)らのチームが開発した。新聞の朝刊一部から抽出した水素で理論上は、トヨタ自動車の燃料電池車「MIRAI(ミライ)」が約三キロ走れる。日比野教授は「水素を使った持続可能な社会の実現に一歩近づけたのでは」と話す。

 水素を使った燃料電池は水だけを排出し、二酸化炭素(CO2)をまったく出さないのが最大の利点。だが現在は、天然ガスや石炭など化石燃料から水素をつくる方法が主流で、その過程でCO2を排出する。結果的に環境負荷が大きく、新たな製造法の開発が課題となっている。

 チームはCO2排出量を抑えるため、木材由来の資源に着目し、古紙を選んで研究を進めた。古紙から水素を取り出す従来の手法では、主成分をいったんアルコールに変換する必要があった。工程が複雑でコストがかかるうえ、別成分からは水素を抽出できなかった。

 チームが開発した手法では、一〇〇〜一五〇度の高温の酸性溶液に古紙を直接、浸すことで液化。さらに独自開発した特殊な電解質膜を使うことで、アルコール変換をせずに水素を取り出すだけでなく、別成分からも抽出ができた。

 新聞三紙で実験したところ、中日新聞からの水素抽出量が最多だった。理由は不明だが紙質などが影響した可能性がある。本紙が提供した印刷前の新聞用紙でも同程度の水素を得られたといい、インクの量や種類に左右されず、安定して抽出できることも確認した。

 チームによると、理想的な条件下では十グラムの新聞紙から最大一・三グラムの水素をつくれる。MIRAIは水素一キロで約百三十キロ走行可能とされており、中日新聞の平均的な朝刊一部(三十四ページ、百七十グラム)で約二・九キロ走る計算になる。

 チームは今後、間伐材や竹など古紙以外でも研究を進める。日比野教授は「水素を効率よく生成する方法を開発し、温暖化防止につなげたい。古新聞を効率良くエネルギーにできることで、持続可能な社会について考えてもらう契機にもなるのでは」と話す。

 (坪井千隼)

 <燃料電池> 燃料の水素を酸素と反応させて発電する仕組み。二酸化炭素(CO2)を出さず水だけを排出する。トヨタ自動車は2014年に燃料電池車「MIRAI」を世界で初めて一般向けに発売。ホンダも市販を始めた。水素ステーションの整備不足などで普及は遅れている。

 

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