トップ > 一面 > 記事一覧 > 記事

ここから本文

一面

繊維業5割に外国人実習生 経産省調査

 違法な低賃金労働などが問題となっている外国人技能実習制度を巡り、経済産業省が繊維業界を対象に実施した初の全国調査で、回答した企業約三千社のうち五割超の企業で実習生を受け入れていたことが分かった。安い工賃で仕事を請け負わざるを得ない下請け業者などが、実習生に依存する状況がうかがわれる。

 経産省が二〜三月、縫製業者など一万社を対象にアンケートを実施。回答企業のうち、実習生を「現在受け入れている」のは17・1%、「過去に受け入れていた」は36・5%に上った。

 愛知、岐阜県、東京都の企業への聞き取りでは、その理由を「人材育成の余力がなく、作業人員を確保するため」「実習生なしでは回っていかない」と説明した。中には、「最低賃金以下で実習生を雇っていた」と明かす企業もあった。

 背景には、アパレルメーカーが人件費の安い海外に生産拠点を移して加工賃が下がり、下請けが圧迫されている状況がある。61・3%は「採算を度外視して受注することがある」と回答。理由として、発注元に工賃アップを交渉すると、受注できなくなるリスクがあることなどを挙げた。

 国は最低賃金を引き上げてきたが、その際に「発注元から取引代金を引き上げられたことがない」と明かした企業は69・4%。「取引代金は発注元の言い値で決まる」といった声や、一方的に取引額を切り下げられたという訴えもあった。

 経産省は今後、業界団体を通じ、発注元と下請けとの取引の適正化を求める。

 技能実習制度を支援する国際研修協力機構(東京)によると、岐阜、愛知両県では中国、ベトナム人など六千人(推計)の実習生が繊維業界で働く。長時間労働や賃金不払いを訴える例が続出している。

 (小倉貞俊)

◆雇用主も厳しい状況

 <実習生を支援する榑松(くれまつ)佐一・愛知県労働組合総連合議長の話> 最低賃金は毎年上がっているのに、発注元から取引代金を引き上げられた業者が三割しかいないのは驚きだ。愛知、岐阜の縫製業で働く実習生からの相談をこの一年で九件受けたが、いずれも残業代は時給四百〜五百円と違法状態だった。今回の調査から、雇用主も大変な状況にあるという背景が見えてくる。業界全体で、最低賃金の上昇に対応できる態勢をつくらないといけない。

 <外国人技能実習制度> 開発途上国の人材育成を目的に1993年に始まった。繊維、建設、金属加工など74職種の企業で、外国人を最長3年間受け入れる。2010年まで入国1年目は残業ができない「研修生」だったが、現在は1年目から実習生として労働関係法が適用される。16年の法改正で、今秋から一定条件を満たすと最長5年の受け入れが可能になる。昨年末で約23万人の実習生が働いている。

 

この記事を印刷する

中日新聞・北陸中日新聞・日刊県民福井 読者の方は中日新聞プラスで豊富な記事を読めます。

新聞購読のご案内

PR情報

地域のニュース
愛知
岐阜
三重
静岡
長野
福井
滋賀
石川
富山

Search | 検索