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危険手当、中間搾取で1万円が300円に 福島第一、廃炉作業員

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 東京電力福島第一原発の収束、廃炉作業で、事故直後から放射線量の高い現場で働く作業員らに支払われてきた危険手当が大幅に中間搾取(中抜き)され、支給時に日額「三百円」に減額された事例があったことが、本紙が入手した内部資料や関係者の証言で分かった。これまでも中抜きの横行は公然とささやかれてきたが、具体的に裏付けられたことはほとんどなかった。

 東電によると、危険手当は「(工事の)設計上の労務費の割り増し分」と位置付けられる。工事費に上乗せする形で支払っており、事故直後からの「従来分」と、二〇一三年十二月以降の発注工事から上乗せした「増額分」の二種類ある。

 東電は金額の詳細を明らかにしていないが、広瀬直己社長は国会などで、それぞれ日額「一万円」が代表例だと説明している。

 本紙が入手したのは、一四年四月〜一五年三月に実施された原子炉建屋付近のがれき処理などの工事関連の書類。発注者は東電で「東芝」が元請け、グループ会社の「東芝プラントシステム」が一次下請けに入った。作業員は主に三次下請け業者が集め、賃金を支払った。

 書類は、二次下請けから三次下請けへ支払われた工事費の項目があり、二種類の危険手当のうち「従来分」に対応する手当が「震災対応協力金」の名目で記載されている。放射線量の高い順に(1)原子炉建屋や建屋と同レベルの環境下は「二千五百円」(2)その他の構内は「千円」(3)免震重要棟や入退域管理棟施設内が「三百円」−となっている。

 いずれも東電が代表例とする一万円と比べ、大幅に少ない。危険手当をめぐっては、作業員側から中抜きを訴える声が相次ぐが、支給側の証言などがなく、多くの場合、実態は不透明だ。だが今回、二次下請けの建設会社の社長が本紙取材に対して「事務手数料や振込手数料として徴収した」と、中抜きを認めた。

 ただ、この社長は「うちが受け取ったのは五千円(1)、二千円(2)、七百円(3)だった」と語り、既に一万円を大幅に下回っていたと証言する。一方、一次下請けの東芝プラント、元請けの東芝はともに「個別の工事の金額はお答えできない」とした上で、危険手当については「適切に支払っている」と答えた。

 危険手当(従来分)に関しては一二年三月、東電の小森明生常務(当時)が福島県いわき市議会で「作業されている方に仕事の成果としていくよう引き続き努力してまいりたい」と発言。しかし、今回のケースについて東電は取材に「作業員と契約しているのは雇用主である業者で、東電としてどうこう言える話ではない」と回答した。

 (鈴木龍司)

◆東電は実態の調査を

 <原発問題に詳しい中部大の武田邦彦特任教授の話> 危険手当は作業員が受け取るべきもので、搾取は許されない。東京電力には公的な資金が投入されている。そのような会社が下請け任せにして、作業員への危険手当の流れを把握せず、問題を放置することは国民の納得を得られない。東電は支給実態をしっかりと調査する必要がある。

震災対応協力金の金額が3区分で記された資料

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