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サムスントップ逮捕 国政介入事件、贈賄容疑

16日、逮捕状発付是非の審査を受けソウル中央地裁を出るサムスン電子の李在鎔副会長(中央)=共同

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 【ソウル=上野実輝彦】朴槿恵(パククネ)韓国大統領の友人・崔順実(チェスンシル)被告による国政介入事件を捜査している特別検察官のチームは十七日午前、韓国最大の財閥サムスングループの実質トップで、サムスン電子副会長の李在鎔(イジェヨン)容疑者(48)を、贈賄などの疑いで逮捕した。サムスングループ創立以来、トップの逮捕は初めて。同チームは朴大統領の関与を追及するため、大統領本人の聴取も視野に入れており、憲法裁判所による朴大統領の罷免の可否の審理に影響する可能性もある。

 李容疑者は、父の李健熙(イゴンヒ)サムスン電子会長が二〇一四年五月に病床に伏した後、経営権を握るため朴大統領に支援要請したとされ、見返りに崔被告を資金援助したことが賄賂にあたると特検はみている。

 韓国メディアによると、李容疑者は崔被告がドイツで設立した企業とコンサルティング契約を結んだり、崔被告が実質支配する二財団に資金援助したりして、崔被告側への賄賂額は約束分を含め計四百三十億ウォン(約四十二億五千万円)に上るとされている。

 特検は一月にも、贈賄などの容疑で李容疑者の逮捕状を請求したが棄却されていた。今回、逮捕状を発付したソウル中央地裁は「新たな容疑事実と追加の証拠資料などから、逮捕の必要性を認めた」と説明していて、特検は不正な請託と贈賄を裏付ける証拠を入手、提出したもようだ。

 サムスン側は「今後の裁判で真実が明らかになるよう最善を尽くす」とのコメントを発表した。

 一方、憲法裁は大統領の罷免の審理を二十四日に結審すると決定。三月上旬にも結論が出る可能性がある。

 李容疑者と朴氏の共謀が立証されれば、結論にも影響しそうだ。

◆韓国経済に打撃も

 【ソウル=島崎諭生】サムスン電子副会長の李在鎔容疑者が特別検察官チームに逮捕されたことで、サムスングループは司令塔を失い、経営に打撃を受けるのは必至だ。サムスングループは韓国の輸出額全体の20%を占めるといわれ、イメージ悪化などで業績が下がれば、韓国経済全体に悪影響が広がりかねない。

 サムスン電子は昨秋、新型スマートフォン「ギャラクシーノート7」が発火問題で生産・販売中止に追い込まれたが、半導体事業の好調で打撃を吸収し、業績が回復基調に乗ったばかりだった。

 李容疑者は二〇一四年に父の李健熙会長が急性心筋梗塞で倒れて以来、事実上の司令塔役を務めてきた。合併や買収、大規模な新規事業への投資などにはトップの決断が必要で、李容疑者の逮捕により、今後は迅速な事業展開が難しくなる。サムスンは、トップの素早い決断によるスピード経営を武器に業績を伸ばしてきただけに、影響は大きい。

 サムスン電子は米自動車部品大手、ハーマン・インターナショナル・インダストリーズを八十億ドル(約九千百億円)で買収することで合意していたが、韓国メディアは、十七日のハーマン側の株主総会で反対意見が出る可能性を指摘。さらに、サムスンが米国の海外腐敗行為防止法の対象となり、巨額の罰金を科せられる恐れも懸念している。

 韓国経済は最近、柱の一つだった造船業が世界的な造船不況で危機に陥るなど、景気低迷に苦しんでいる。回復基調だったサムスンは、その中で唯一、韓国経済を支える背骨だった。サムスンの投資や雇用が縮小すれば、韓国経済全体を揺さぶる可能性がある。

 韓国貿易協会の関係者は「輸出不振や保護貿易主義で状況が厳しくなる中、韓国最大企業の副会長に逮捕状が出されたのは、とても遺憾だ。企業活動が萎縮し、海外市場で積み重ねてきたブランドイメージが傷つくのではないかと、憂慮している」と話した。

 

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