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共創 アジアへ

第2部 リンナイ 興せ産業(3)

家電量販店に並ぶリンナイコリアのガスコンロ=ソウルで(曽布川剛撮影)

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 韓国・ソウル中心部の家電量販店で、ガス機器売り場を訪れた主婦がガスコンロを品定めしていた。「リンナイ製品は安全だからいつも使ってるわよ」

 十九年連続の「ブランド力指標」一位、十年連続の「顧客が最も推薦する企業ナンバーワン」。

 リンナイ製品のポップ広告には、評価機関による表彰実績を示すマークが付いている。並んでいるコンロのバーナーの多くは幅六・五センチで、他社より三センチほど狭い。

 「最近は一人暮らしの若者や二人暮らしの高齢者が増えて小さい鍋を使うことが多い。火力が同じならリンナイを選びますよ」。内部に異物が混入しにくいつくりも人気の理由だと店員が説明していた。

 現地法人のリンナイコリアは、もうすっかり韓国の企業とみなされている。アフターサービスや品質に加え、韓国人の暮らしや好みに合わせた製品を投入してきたことが大きい。

 家で魚を焼くのに日本はコンロに付いたグリルを使うが、韓国ではフライパンで焼くことが多く、グリルのないタイプが標準化した。コンロは日本よりも大型で、ワインレッドやオレンジなど派手な色が好まれる。

 一九八〇年代、韓国人の経営トップは「生きた目で市場が何を求めているのか見極めろ」と従業員に呼び掛けてきた。製品企画や営業、アフターサービスを現地ですべて担い、日本からの駐在員はずっと技術や総務の二、三人だけだ。

 「需要のあるところに生産拠点を構え、現地の考え方を尊重して生活文化の向上に貢献する」。リンナイ会長だった内藤明人(故人)の教えも、「消費者ファースト」を貫く精神の支柱となった。

 前常務執行役員の吉田雄三(64)が「たとえ価格が高くなっても、ブランドと商品力があれば、どの国でも負けない」と語るように、韓国での成功体験は巨大市場の中国でも生かされている。

 「市場と流通をつくるのがうまいリンナイコリアから学んだ部分は大きい」と、中国現地法人「上海林内」の総経理(社長)の進士(しんじ)克彦(60)は実感している。五年間の韓国赴任が終わると、九三年に設立された上海林内のトップに就いた。

 合弁相手の上海ガスから任された販売事業では当初、百貨店が得意先だった。中国の経済成長とともに、個人商店、家電量販店、インターネットと市場が目まぐるしく変わった。その都度、販売代理店や直売といった流通体制を見直した。

 リンナイの海外での売上高は長くコリアが首位だったが、二〇一五年から上海が上回っている。経営方針は、進士と上海ガス出身の副総経理の二人で主に決める。昨年三月から操業する新工場の用地取得は、上海林内だけでは交渉が難航し、地元政府と関係が深い上海ガスを頼った。

 リンナイは日本の市場低迷を見据え、これから中国や米国などで事業の拡大を図っていく。「パートナーと組んで一緒に工場をつくって販売していく。このパターンがないと海外でうまくいかない」。内藤の娘婿で社長の弘康(63)は、培ってきた経験を鉄則として掲げる。

 (敬称略)

 ◇ 

 「共創 アジアへ」の記事は、中日Web、中日プラスでご覧になれます。リンナイ社長のインタビューも掲載しています。

 

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