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共創 アジアへ

【ネット独自】インドネシアトヨタ社長に聞く

インドネシアトヨタのワリ・アンダン・チャフヨノ社長

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◆自ら行動できる人づくり 愛されるクルマ目指す

 トヨタ自動車のインドネシア製造会社「インドネシアトヨタ」のワリ・アンダン・チャフヨノ社長(54)が、ジャカルタの本社でインタビューに答えた。トヨタのアジアの製造会社で初の現地生え抜き社長として、国際競争力を高めて産業発展に貢献する意欲を示し、自ら考え行動できる人づくりへの思いも語った。(聞き手・岸本拓也)

 ―トヨタは世界各地で「まち一番」を目指し、地元に根付く活動をしています。

 「重要な質問をありがとうございます。ただ車をインドネシアに売るだけでなく、インドネシアの社会、そして産業を発展させたい。たくさんの貢献をするには、まず私たちの会社がしっかりしたビジネスを成長させないと。そのために、さまざまな状況に挑戦していく競争力を継続的に高めていくことが必要です。ITなど他の産業との競争にも勝っていかないといけないからです」

 ―そのために社内で取り組んでいることは。

 「三つのバリュー(行動指針)を掲げてきました。『オーナーシップ』『チームワーク』、そして『バッドニュースファースト』。この国で優先度が高く、必要なことを考えました。インドネシアでは良いことばかり先に伝えたがる傾向があり、問題解決が長期化してしまうことがありました。良くないことを先に伝えるようにすれば、いろんな課題に対しても迅速に対処できます」

 ―バッドニュースファーストは進みましたか。

 「現場の人はバツを付けることに気が引けてしまう。だから、バツの付いた報告を上げてきた人には『本当にありがとう』とまず感謝してきました。実は大変なんですよ。日付が変わる夜中に電話で連絡を受けたこともあります」

 「企業は技術や知識だけでは伸びていかない。やはり考え方の意識を変えていかないと。チームワークとオーナーシップが入っているのは以前、いろんな部署で縦割りの状態があったから。所属する部で立てた目標を達成したら満足しがちですが、そうではない。会社としてのゴールこそ自分のゴールなんです」

 ―今後は。

 「現在、インテグリティー(誠実さ)やイノベーション(技術革新)などを加え、バリューは七つになった。トヨタと言えばカイゼン。もちろん継続的にカイゼンを続けますが、そうすると緩やかな伸びになってしまう。私たちは二〇二〇年までのビジネス計画を持っていますが、あと二年しかない。跳躍力が必要で、イノベーションが欠かせないと思ったんです」

 ―入社した理由は。

 「私は田舎の人間でした。トヨタには『大きな企業だな、ここで働けたらうれしいだろうな』と思っていました。ただ、大学で化学工学を専攻したので、石油系の大きな企業からも誘いがあった。そうしたら母が『あなたはトヨタにするのよ』と背中を押してくれたんです」

 ―一七年四月から社長を務めています。

 「かつては日本人同士の経営層が話し合っているのをはたからみて『いいなぁ』と思っていました。今はトップとしてコミュニケーションを心がけています。ずっと生産畑にいたので、相手が日本人でもインドネシア人でも問題はあまりない。ちょっと勝手が違って少し躊躇はありますが、肩書の壁を取っ払って話せているのでは」

 ―どんなふうに。

 「私は技術的な課題について特にコメントしません。でも、最初に挙げた三つのバリューに関わる話なら違いますよ。一週間前に挙がった問題を『ほかの部署に伝えましたので』と報告されたら、私は大いに叫びます。『よそに投げただけで済むのか!』とね」

 「変なことも言います。『自動車って四輪だよね。三輪だったらどうなる?』とね。冗談かと笑われますが、新しいアイデアは突拍子のないところから生まれると思いませんか」

 ―職業訓練学校「トヨタ・インドネシア・アカデミー」を一五年十月に設立しました。次代の人材育成をどう考えていますか。

 「最初に考えたのは設備のメンテナンスができる人が大事ということ。いろんな機材の自動化が進んでいる中で、それをきちんと管理運営できる人が必要になります。そういう人を育てなければ、何か問題があると生産ラインがストップし、すぐ影響が出てしまう。それと秩序だった行動ができる人の育成も必要と考えました」

 ―そうした人づくりはトヨタのためか、ひいてはインドネシアのためか。

 「大統領みたいなことを言いますね(笑)。最終的なゴールはインドネシアのためです。いずれ学生の半数をトヨタ以外に送り出せたらよい。高等専門学校のような学校を卒業した求職者向けに六カ月の訓練も実施しています。学び終えたら政府認定の修了証が出るので、これを持ってどこでも働けるようにはなっています」

 ―インドネシアの自動車産業を発展させるには。

 「自動車保有率は千人当たり九十人。タイより低いが、むしろチャンスは大きい。二〇年以降に本格化する車の電動化に、少しでも付いていくことが必要です。産業として競争力を高めるため、政府とも話しています。競争力を付けないと輸出もできません」

 ―トヨタとしては。

 「愛されなければ受け入れてもらない。トヨタの車をインドネシアの車として、もっと喜んで購入し使ってもらえるようにしたい。十年後、二十年後を考えると、販売シェアも現在の三割台でなく、四割、五割と伸ばさないと。やはり愛されることが一番だと思います」

 

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