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知るコレ!

若者の協力が必要 献血

地上からの高さが日本一の「献血(けんけつ)ルームゲートタワー26」の採血室(さいけつしつ)=名古屋(なごや)・名駅(めいえき)で

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 事故(じこ)や手術(しゅじゅつ)などで大量(たいりょう)に出血(しゅっけつ)したときに必要(ひつよう)になる輸血(ゆけつ)には、献血(けんけつ)された血液(けつえき)が使(つか)われています。近い将来(しょうらい)、輸血用の血液が大幅(おおはば)に不足(ふそく)するという予測(よそく)が最近変(さいきんか)わり、九年後には今よりも少ない献血者(しゃ)でも、まかなえるそうです。しかし、少子化(しょうしか)で、献血できる年齢(ねんれい)の人は減(へ)り続(つづ)ける見通しで、国などは若(わか)い人たちに献血への協力(きょうりょく)を呼(よ)び掛(か)けています。 (佐橋大(さはしひろし))

 血液(けつえき)は、酸素(さんそ)を運(はこ)ぶ赤血球(せっけっきゅう)や、出血を止める血小板(けっしょうばん)など、さまざまな成分(せいぶん)が含(ふく)まれています。人工的(じんこうてき)に作れません。輸血(ゆけつ)に使(つか)う血液を無償(むしょう)で提供(ていきょう)するのが献血(けんけつ)です。日本では一年に延(の)べ五百万人近くが協力(きょうりょく)しています。

 日本赤十字社(せきじゅうじしゃ)(日赤)が運営(うんえい)する献血ルームなどで集(あつ)められた血液は、安全性(あんぜんせい)を確認(かくにん)した上で、各地(かくち)の血液センターで成分ごとに分けて保管(ほかん)。必要(ひつよう)に応(おう)じて医療機関(いりょうきかん)に届(とど)けられます。

 毎日、約(やく)三千人が輸血を受(う)けています。東京都(とうきょうと)の調査(ちょうさ)では、二〇一六年に都内の医療機関で輸血を受けた人の85%は五十歳以上(さいいじょう)でした。高齢(こうれい)になると、病気(びょうき)で手術(しゅじゅつ)を受けたり、がんの治療(ちりょう)で抗(こう)がん剤(ざい)の副作用(ふくさよう)により血(ち)が作られにくくなったりと、輸血する頻度(ひんど)が高くなります。一四年に日赤が出した予測(よそく)では、高齢化(か)でより多くの輸血が必要(ひつよう)になり、二七年には、当時より約四十五万人多い約五百四十五万人分の献血が要(い)るとされました。「献血が八十五万人分不足(ふそく)する」とも言われました。献血する人の割合(わりあい)が変(か)わらなくても、少子化で献血できる年齢(十六〜六十九歳)の人が減(へ)るからです。

 しかし、ここ数年、予想(よそう)に反(はん)し、輸血用血液の必要量(りょう)は少しずつ減っています。理由(りゆう)は医療の進歩(しんぽ)。傷口(きずぐち)が小さく、出血も少ない「内視鏡(ないしきょう)」による手術法(ほう)が広がり、一回の手術で必要な輸血が減っているのです。日赤は一月、病院(びょういん)への調査を基(もと)に予測し直したところ、二七年に必要な献血は、今より少ない四百七十七万人分に収(おさ)まることが分かりました。「皆(みな)さんの協力があれば血液は確保(かくほ)できそうです」と担当者(たんとうしゃ)は話します。

 ただし、少し気になるデータもあります。若(わか)い人の献血(けんけつ)が、人口の減(へ)るペース以上(いじょう)に減っているのです。二〇〇七〜一七年で十六〜三十九歳(さい)の献血者(しゃ)は34%減少(げんしょう)。その世代(せだい)の人口減少率(りつ)、17%を大きく上回ります。

 輸血(ゆけつ)用の血液(けつえき)を国内の献血ですべてまかなう体制(たいせい)になって四十四年。五十年ほど前までは、報酬(ほうしゅう)を目当てに売られた血(ち)で輸血のほとんどがまかなわれていて、何度(なんど)も血を売る人が不健康(ふけんこう)になったり、血液を介(かい)して病気(びょうき)が広がったりといった問題(もんだい)がありました。

 安全(あんぜん)な今の仕組(しく)みを続(つづ)けるには、若い人たちの協力(きょうりょく)が必須(ひっす)です。日赤(にっせき)は〇九年から、若者(わかもの)に献血の大切さを伝(つた)えるプロジェクト「LOVEラブ inイン Actionアクション」を展開(てんかい)。若者に人気のアーティストや芸能人(げいのうじん)の協力で、啓発(けいはつ)イベントを各地(かくち)で開(ひら)いたり、会員制交流(かいいんせいこうりゅう)サイト(SNS(エスエヌエス))を通じ、献血や献血会場のPR(ピーアール)をしたりしています。

 昨年(さくねん)、「地上から日本一高い献血ルーム」として名古屋(なごや)・名駅(めいえき)のJR(ジェイアール)ゲートタワー二十六階(かい)にオープンした「献血ルームゲートタワー26」では、愛知県内(あいちけんない)の高校や大学の生徒(せいと)、学生が手掛(てが)けた趣味(しゅみ)や学校の作品(さくひん)をしばしば展示(てんじ)し、地上百二十四メートルからの眺(なが)めとともに献血者の目を楽しませています。この献血ルームの事業(じぎょう)二課推進係長(かすいしんかかりちょう)の川合基夫(かわいもとお)さんは「展示をきっかけに、高校生や学生も、献血に関心(かんしん)を持(も)ってもらえたら」と期待(きたい)します。

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