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知るコレ!

形で分かる 雨の前ぶれ 雲の天気予報

富士山山頂(ふじさんさんちょう)を覆(おお)う笠雲(かさぐも)(写真(しゃしん)は荒木(あらき)さんの著書(ちょしょ)「雲を愛(あい)する技術(ぎじゅつ)」から)

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 空にぷかぷか浮(う)かぶ雲に「乗(の)ってみたいなー」なんて、思ったことがある人もいるでしょう。見慣(みな)れた雲にもいろんな種類(しゅるい)があり、その姿形(すがたかたち)から、天気について分かることが多くあります。外で過(す)ごす機会(きかい)が増(ふ)える時期(じき)なので、調(しら)べてきました。 (辻紗貴子(つじさきこ))

 「富士山(ふじさん)の山頂(さんちょう)を覆(おお)う笠雲(かさぐも)は荒天(こうてん)の前兆(ぜんちょう)」「月や太陽(たいよう)の周(まわ)りに暈(かさ)(=光の輪(わ)のようなもの)が掛(か)かると雨」などの言葉(ことば)を聞いたことがあるでしょうか? これらは、雲や空を見て天気を予測(よそく)する「観天望気(かんてんぼうき)」の例(れい)です。現代(げんだい)のような天気予報(よほう)がなかった古くから言われてきました。動植物(どうしょくぶつ)にまつわるものもありますが、気象庁(きしょうちょう)気象研究所(けんきゅうしょ)(茨城県(いばらきけん)つくば市)の荒木健太郎(あらきけんたろう)さん(33)によると「雲に関(かん)する観天望気は科学的(かがくてき)な根拠(こんきょ)があるものが多いです」。

 雲は大気中に浮(う)かんだ無数(むすう)の水滴(すいてき)や氷(こおり)の結晶(けっしょう)(氷晶(ひょうしょう))の集合体(しゅうごうたい)。水滴や氷晶は「雲粒子(りゅうし)」と呼(よ)ばれ、目に見える太陽の光(可視(かし)光線)を散乱(さんらん)させるため、私(わたし)たちは雲を見ることができます。10種類(しゅるい)の「10種雲形」に分類でき、さらに、粒子が水滴か氷晶か、それらが混(ま)ざっているかなどにより、細かく分けられます。

 冒頭(ぼうとう)に登場(とうじょう)した「笠雲」は、その名の通り、笠のような形をしています。富士山でこの雲が発生(はっせい)しやすいのは、日本海に温帯低気圧(おんたいていきあつ)があって、寒冷(かんれい)前線が日本列島(れっとう)を通過(つうか)する前。寒冷前線は悪天候(あくてんこう)をもたらすので、なるほど、笠雲は「荒天の前兆」になるわけです。

 「太陽や月の周りに暈が掛かると雨」の場合、暈は、氷の粒子による雲「巻層雲(けんそううん)」に伴(ともな)い発生します。巻層雲は厚(あつ)みを増(ま)すと雨雲の「乱層雲(らんそううん)」に変化(へんか)し、雨が降(ふ)りやすくなるのです。

 大雨や雷(かみなり)、突風(とっぷう)などをもたらす「積乱雲(せきらんうん)」を見分けられれば、身(み)を守(まも)ることにつながります。もくもくとした、いわゆる入道(にゅうどう)雲(雄大積雲(ゆうだいせきうん))が発達(はったつ)して生まれます。地球(ちきゅう)を取(と)り巻(ま)く大気層の対流圏(たいりゅうけん)と成層(せいそう)圏との境目(さかいめ)、地上約(やく)10キロ超(ちょう)まで成長し頂上部(ちょうじょうぶ)が平(たい)らになった「かなとこ雲」や、一定(いってい)の方向(ほうこう)から雲が濃(こ)く広がる「濃密巻雲(のうみつけんうん)」などが積乱雲の発達とともに現(あらわ)れます。積乱雲は寿命(じゅみょう)が約1時間で、最近(さいきん)の技術(ぎじゅつ)でも発生の正確(せいかく)な予測は難(むずか)しいため、雲や空の変化に注意(ちゅうい)することが重要(じゅうよう)です。

 また、積乱雲の底(そこ)にぼこぼことした暗黒(あんこく)色の「乳房(ちぶさ)雲」が見えたら、約1時間以内(いない)に土砂降(どしゃぶ)りの雨になる可能性(かのうせい)が高いです。積乱雲の下に漏斗(ろうと)状の雲「漏斗雲」がくっついていることがあり、この雲は竜巻(たつまき)の発生直前か既(すで)に発生していることを示(しめ)します。見たら頑丈(がんじょう)な建物(たてもの)などに避難(ひなん)しましょう。荒木さんは「積乱雲は私たちに危険(きけん)を知らせてくれる雲です」と話します。

 雲の位置(いち)の確認(かくにん)や予測(よそく)に役立(やくだ)つのが、気象(きしょう)レーダーの情報(じょうほう)です。気象庁(ちょう)は、インターネットで、短時間(たんじかん)の予報「高解像度降水(こうかいぞうどこうすい)ナウキャスト」を提供(ていきょう)しています。雨雲の動(うご)きを3時間前までさかのぼり、さらに1時間先の予想(よそう)も閲覧(えつらん)できます。

 近年「ゲリラ豪雨(ごうう)」という名前をよく耳にします。積乱雲(せきらんうん)がもたらす局地的(きょくちてき)大雨などのことです。積乱雲の動きをナウキャストで確認すると、自分のいる地域(ちいき)に大雨が到来(とうらい)するかが分かることも多いのです。加(くわ)えて、前日の天気予報などで「大気の状態(じょうたい)が不安定(ふあんてい)」という言葉(ことば)が出てくれば、特(とく)に雲の動きに注意(ちゅうい)すべきだと判断(はんだん)できます。「分かっていれば『ゲリラ』ではなくなります」と荒木(あらき)さん。

 すてきな景色(けしき)に出合うためにも活用できます。雨雲が抜(ぬ)けて雨が通り過(す)ぎるタイミングをナウキャストで見計らい、雨上がりの直後に太陽(たいよう)と反対側(はんたいがわ)の空を見上げると、よく虹(にじ)が出ているそうです。荒木さんは、楽しく空を見上げるために情報を活用することを勧(すす)めます。「普段(ふだん)から使(つか)い慣(な)れておくと、いざというときに身(み)を守(まも)る役に立ちます」

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