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知るコレ!

ネットを通じ分かち合い シェアリングエコノミー

借(か)りたスペースで、久(ひさ)しぶりの再会(さいかい)を楽しむ親子=愛知県一宮(あいちけんいちのみや)市で

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 おもちゃや自転車(じてんしゃ)など何かを買って一人だけで使(つか)うより、誰(だれ)かと使う方がお得(とく)?! インターネットを通じ、モノやスペースなどを個人(こじん)の間で貸(か)し借(か)りする社会の仕組(しく)み「シェアリングエコノミー」が世界各地(せかいかくち)で広がっています。未来(みらい)の可能性(かのうせい)を考えてみましょう。 (川合道子(かわいみちこ))

 先月のある週末(しゅうまつ)、お父さん同士(どうし)が同級生(どうきゅうせい)という五家族(かぞく)二十人が、久(ひさ)しぶりの再会(さいかい)を楽しんでいました。大人たちがキッチンを囲(かこ)んで料理(りょうり)を準備(じゅんび)している間、そばで遊(あそ)んでいた小学五年の女の子は「いつもとは雰囲気(ふんいき)の違(ちが)う場所(ばしょ)で楽しい」と笑顔(えがお)を見せました。

 ここは、誰(だれ)かの家でも飲食店(いんしょくてん)でもありません。メンバーの一人がスマートフォンで見つけた、愛知県一宮(あいちけんいちのみや)市の空間デザイン会社「グランジュッテ」が所有(しょゆう)する空きスペース。過去(かこ)の利用者(りようしゃ)の口コミを読んで借(か)りることにしました。「小さな子どもがいても、友達(ともだち)と気兼(きが)ねなく過(す)ごせるのでうれしい」と話します。

 スペースを貸(か)す人と借りる人をインターネットでつないでいるのが、「スペースマーケット」(東京都(とうきょうと))という会社が運営(うんえい)するサイトです。あまり使(つか)われなくなった民家(みんか)や企業(きぎょう)の部屋をはじめ、オフシーズン中の球場(きゅうじょう)、学校の教室や理科室まで全国各地(ぜんこくかくち)の約(やく)九千件(けん)が登録(とうろく)され、スマホ一つで貸し借りの手続(てつづ)きができるのです。

 一つのモノなどを複数(ふくすう)の人で分かち合うことを英語(えいご)で「シェア」といいます。何かを買って自分一人で使うのではなく、知り合いやそれまでつながりのなかった人ともシェアする機会(きかい)が最近増(さいきんふ)えました。

 例(たと)えば自転車(じてんしゃ)。都市部(としぶ)ではとめる場所を確保(かくほ)するのに手間や費用(ひよう)がかかります。たまに乗(の)る人なら、必要(ひつよう)なときに借りる方が安上(やすあ)がり。交通渋滞(じゅうたい)や放置(ほうち)自転車を減(へ)らすことにもつながるため、環境対策(かんきょうたいさく)としても期待(きたい)されています。

 「時間」や「スキル(技術(ぎじゅつ))」を誰かのために使おうという動(うご)きも広がっています。「エニタイムズ」(東京都)が運営するのは、近所(きんじょ)で助(たす)け合えるメニューを紹介(しょうかい)するアプリです。子どもの送迎(そうげい)やヘアアレンジ、犬の散歩(さんぽ)、家具(かぐ)の組み立て…。「プロに頼(たの)むほどではない小さなことでも、自分でできなくて困(こま)っている人と、得意(とくい)なことで誰かを助けたいと思っている人をつなぐ仕組(しく)み」と広報(こうほう)の松沢実穂(まつざわみほ)さん。少子化(しょうしか)や高齢(こうれい)化といった地域(ちいき)の問題解決(もんだいかいけつ)を目指(めざ)し、サービスを取(と)り入れる自治体(じちたい)も増えているそうです。

 「日本には昔(むかし)、近所(きんじょ)でしょうゆを貸(か)し借(か)りする文化(ぶんか)がありました」と話すのは一般社団法人(いっぱんしゃだんほうじん)「シェアリングエコノミー協会(きょうかい)」の石山(いしやま)アンジュさん。核家族化(かくかぞくか)などで、そうした付(つ)き合いは薄(うす)らいだものの「インターネットやスマホが普及(ふきゅう)し、近所の枠(わく)を超(こ)えて何かを気軽(きがる)にシェアできる時代(じだい)になっている」と説明(せつめい)します。

 世界(せかい)ではシェアの動(うご)きが加速(かそく)しています。例(たと)えば中国(ちゅうごく)では作りすぎた料理(りょうり)をネットを通じて安価(あんか)でお裾分(すそわ)けする「ミールシェア」が登場(とうじょう)。ヨーロッパでは、一人暮(ぐ)らしの人が地元に住(す)んでいる人の家を訪(おとず)れ、家庭(かてい)料理を一緒(いっしょ)に作って食べるサービスも人気です。

 知らない人と何かを共有(きょうゆう)することに、不安(ふあん)を抱(いだ)く人も多いでしょう。仲介(ちゅうかい)する会社などでは個人間(こじんかん)のトラブルを防(ふせ)ぐためのルールづくりを進(すす)めています。石山さんは「単純(たんじゅん)なモノやサービスのやりとりから人々の交流(こうりゅう)や信頼(しんらい)が生まれ、ネットワークが広がっていくことがシェアの魅力(みりょく)。一人一人のつながりが増(ふ)えていく先にどんな未来(みらい)がありそうか、みんなも考えてみて」と話しました。  

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