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知るコレ!

タックルなしで、安全に タグラグビー

岐阜県(ぎふけん)大会の試合(しあい)。男の子も女の子も活躍(かつやく)できる=岐阜市の長良川球技(ながらがわきゅうぎ)メドウで

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 タグラグビーという球技(きゅうぎ)を知っていますか。体育(たいいく)の授業(じゅぎょう)で扱(あつか)う学校も少なくないスポーツです。ラグビーのような体のぶつかり合いはなく、特殊(とくしゅ)なルールにもすぐに慣(な)れるそう。冬場の激(はげ)しく動(うご)き回る運動(うんどう)に最適(さいてき)だと聞き、その魅力(みりょく)を探(さぐ)ってみました。 (那須政治(なすまさはる))

 愛知県愛西(あいちけんあいさい)市西川端(にしかわばた)小学校の校庭(こうてい)。体育(たいいく)の授業(じゅぎょう)で、ラグビーボールを持(も)った5年生が、白熱(はくねつ)した試合(しあい)を繰(く)り広げていました。

 攻(せ)める側(がわ)がボールを抱(かか)えて前進(ぜんしん)し、相手(あいて)のゴールラインの奥(おく)に置(お)けばトライ(1点)。公式(こうしき)ルールでは5人1組で前後半7分ずつの中で総得点(そうとくてん)を競(きそ)います。ボールを前に投(な)げると反則(はんそく)になり、パスを後ろ(横(よこ))に回しながら前進するのが他(ほか)にはない特徴(とくちょう)です。

 ラグビーが盛(さか)んなイギリスで、誰(だれ)もが手軽(てがる)で安全(あんぜん)に球技(きゅうぎ)を楽しめるよう1990年代初(ねんだいはじ)めに考案(こうあん)されました。ボールを持つ相手に体をぶつけて力ずくで止める激(はげ)しいタックルの代(か)わりに、全選手(ぜんせんしゅ)が両腰(りょうこし)にリボン状(じょう)の「タグ」を装着(そうちゃく)。守備(しゅび)側がボールを持つ選手のタグを取(と)りにいき、タグを取られた攻撃(こうげき)側の選手は、すぐに止まって味方(みかた)にボールをパスする必要(ひつよう)があります。タグを4回取られたり、前に落球(らっきゅう)するなどの反則を犯(おか)したりすると攻守交代(こうしゅこうたい)です。

 佐藤貴子教諭(さとうたかこきょうゆ)(59)は「ボールを持ったらとにかく走る」「味方もすぐ後ろを追(お)い掛(か)ける」「守備側は相手のタグを狙(ねら)う」と、3つの指示(しじ)を繰り返(かえ)していました。タグラグビーを授業に取り入れて11年目。サッカーやバスケよりもみんなが活躍(かつやく)する余地(よち)が大きいと感(かん)じています。「ボールを後ろに回して進(すす)むから、後方に固(かた)まりがちな運動(うんどう)が苦手(にがて)な子にもパスが回ってきます。ドリブルやシュートといったボール操作(そうさ)の技術(ぎじゅつ)もいりません」

 男女混合(こんごう)チームでの試合でも女子の活躍が目立ちました。松田花望(まつだかのん)さんは「初めてトライが取れた」と満足(まんぞく)げでした。

 学校の授業の内容(ないよう)は、国が定(さだ)めた「学習指導要領(がくしゅうしどうようりょう)」に基(もと)づいて決(き)まります。タグラグビーは2011年度(ねんど)に始(はじ)まった現在(げんざい)の要領から、サッカーやバスケに代表(だいひょう)される「ゴール型(がた)」のボール運動の一例(れい)として記されました。

 日本では19年秋、4年に1度の世界(せかい)大会「ラグビーワールドカップ」(W杯(ダブリュはい))を控(ひか)えます。日本ラグビーフットボール協会(きょうかい)は今、ラグビーに親しんでもらおうと、全国の学校にタグラグビーの導入(どうにゅう)を働(はたら)きかけ、各地(かくち)で体験会(たいけんかい)なども開(ひら)いています。

 協会が今年1〜2月に行ったアンケートでは、W杯の試合会場に選(えら)ばれた東京(とうきょう)、大阪(おおさか)、愛知などの10都府県(とふけん)と2市(札幌(さっぽろ)、神戸(こうべ))で、少なくとも約(やく)1600の小学校でタグラグビーを実施(じっし)していました。東海(とうかい)地方では愛知県豊田(とよた)市が力を入れています。

 アンケート対象外(たいしょうがい)の自治体(じちたい)でも、岐阜県関(ぎふけんせき)市では以前(いぜん)から大半の小学校でタグラグビーを実施(じっし)。市内42チームの競争(きょうそう)を勝(か)ち抜(ぬ)いた8チームが出場した11月末(まつ)の県大会では、桜ケ丘(さくらがおか)小6年チームが優勝(ゆうしょう)。和田唯聖君(わだいさとくん)は「皆(みな)でパスを回し、相手(あいて)のタグを取(と)りにいけるのが楽しい」と一度(いちど)の攻撃(こうげき)・守備(しゅび)に全員(ぜんいん)で参加(さんか)できる面(めん)を魅力(みりょく)に挙(あ)げました。

 タグラグビーの普及(ふきゅう)や指導(しどう)の研究(けんきゅう)を続(つづ)ける東京学芸(とうきょうがくげい)大教授(きょうじゅ)の鈴木秀人(すずきひでと)さん(56)は、ゴール型(がた)のボール運動(うんどう)は得点場面(とくてんばめん)以外で選手(せんしゅ)の貢献(こうけん)ぶりが分かりにくいと指摘(してき)します。その上で、「タグを奪(うば)う守備の貢献度が見え、選手自身(じしん)もチームに役立(やくだ)っているという有用感(ゆうようかん)が得(え)やすい。引っ込(こ)み思案(じあん)な子にもパスが回ってくるから、誰(だれ)もがトライする機会(きかい)がある」と学校教育(きょういく)で扱(あつか)う意義(いぎ)を説明(せつめい)します。

 運動量(りょう)も他(ほか)のゴール型のボール運動より多くなる傾向(けいこう)があるといい、「タグラグビーは運動が苦手(にがて)な子を救(すく)える」と語りました。

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