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知るコレ!

海漂い、環境壊すごみ マイクロプラスチック

太平洋(たいへいよう)で見つかったマイクロプラスチック(高田教授(たかだきょうじゅ)の提供(ていきょう))

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 皆(みな)さんは「マイクロプラスチック」という言葉(ことば)を聞いたことがありますか。その名の通り「極(きわ)めて小さな」プラスチックのことです。近年は、ごみとして海を漂(ただよ)い、魚が餌(えさ)と間違(まちが)えて食べてしまうなど問題(もんだい)になっています。 (世古紘子(せこひろこ))

 「マイクロプラスチックはプラスチック製品(せいひん)がもろくなってボロボロになったもの。5ミリ以下(いか)の大きさを指(さ)します」と話すのは、東京農工(とうきょうのうこう)大農学部(ぶ)(東京都府中(とふちゅう)市)の高田秀重教授(たかだひでしげきょうじゅ)。

 全世界(ぜんせかい)で1年間に作られるプラスチックは3億(おく)トンにもなります。高田教授によると、そのうち半分程度(ていど)はペットボトルやコンビニの弁当箱(べんとうばこ)、お菓子(かし)の包装(ほうそう)、レジ袋(ぶくろ)といった使(つか)い捨(す)てに使われているといいます。

 でもなぜプラスチック製品が海に? 高田教授は「実(じつ)は、海と離(はな)れて住(す)んでいても関係(かんけい)があるんですよ。きちんと処理(しょり)されない一部のプラスチックが問題(もんだい)になるのです」と指摘(してき)します。

 例(たと)えばレジ袋を誰(だれ)かが道にポイ捨てしたり、ごみ箱に入れたはずが風で飛(と)ばされたりして路上(ろじょう)に散乱(さんらん)したとします。雨が降(ふ)るとプラスチックは水より軽(かる)いため水路(すいろ)や川に流(なが)れ出し、最後(さいご)は海に運(はこ)ばれていきます。

 海では波(なみ)を受(う)け、太陽光(たいようこう)や紫外線(しがいせん)を浴(あ)びます。すると袋は少しずつ壊(こわ)れ、やがて細かな破片(はへん)となるのです。「紫外線で壊れるのはプラスチックの洗濯挟(せんたくばさ)みが1年くらいでボロボロになることからも分かるでしょう」と高田教授。想像(そうぞう)以上にもろいのです。

 マイクロプラスチックは南極海(なんきょくかい)や北極(ほっきょく)の氷(こおり)の中にも見つかり、今では「漂(ただよ)っていない海はないほど」。2012年には世界中に計5兆個(ちょうこ)、重(おも)さで27万トンがあると推定(すいてい)されました。

 これほど小さいと、魚も餌(えさ)と間違(まちが)えて食べてしまいます。高田教授らは15年、東京湾(わん)で捕(と)ったカタクチイワシ64匹(ひき)を調(しら)べました。すると8割(わり)近い49匹から計150個が出てきたのです。「プラスチックにはさまざまな薬剤(やくざい)が使われ、海中の有害物質(ゆうがいぶっしつ)も吸着(きゅうちゃく)します。今の量(りょう)なら人間が食べても大丈夫(だいじょうぶ)。でもこれから増(ふ)えれば分かりません」と注意(ちゅうい)を促(うなが)します。

 マイクロプラスチックの問題(もんだい)をどう解決(かいけつ)するか。各国政府(かっこくせいふ)が集(あつ)まる国連本部(こくれんほんぶ)の会議(かいぎ)でも去年(きょねん)から話し合いが始(はじ)まる一方、日本の企業(きぎょう)も努力(どりょく)をしています。化学(かがく)メーカーの「カネカ」(東京都港区(とうきょうとみなとく))は海中の微生物(びせいぶつ)が分解(ぶんかい)できる生分解性(せい)プラスチックを開発(かいはつ)し、試験販売(しけんはんばい)をしています。

 分解できる秘密(ひみつ)は、微生物自身(じしん)が作り出すプラスチックだから。新規事業(しんきじぎょう)開発部の福田竜司(ふくだりゅうじ)さんは「使(つか)うのは自然(しぜん)界(かい)に存在(そんざい)し、改良(かいりょう)した微生物一種類(しゅるい)。植物油(しょくぶつゆ)を食べ、プラスチックを作り体内にため込(こ)むので、それを取(と)り出します」と説明(せつめい)します。

 海などには、微生物が作ったプラスチックを餌(えさ)として食べる他(ほか)の微生物がいます。30度(ど)の海水で行われた試験では、生分解性プラスチックの9割(わり)が半年以内(いない)に水と二酸化炭素(にさんかたんそ)に分解されました。ただ、開発から間がなく、国内ではまだ広まっていません。福田さんらは「環境(かんきょう)に優(やさ)しいと知ってもらえたら」と期待(きたい)します。ほかにも、化粧品(けしょうひん)メーカーが洗顔料(せんがんりょう)や歯磨(はみが)き粉(こ)に入っていた粒状(つぶじょう)のプラスチックを使うのをやめるなどしています。

 私(わたし)たちが身近(みぢか)でできることもあります。高田教授(たかだきょうじゅ)は「マイクロプラスチックを全(すべ)て網(あみ)ですくうのは無理(むり)。プラスチック製品(せいひん)を使わないよう心掛(こころが)け、減(へ)らすことが大事(だいじ)」と強調(きょうちょう)します。レジ袋(ぶくろ)を断(ことわ)ったり、ペットボトルの代(か)わりに水筒(すいとう)を持(も)ったりはすぐにできます。

 2050年にはマイクロプラスチックの量(りょう)が、海にいる魚を上回るとの計算もあります。「大人になったとき、さらに大きな問題とならないよう自分ごととして考えて」と呼(よ)び掛(か)けます。

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