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知るコレ!

古い人工衛星など除去 宇宙ごみの掃除

10月の展示会(てんじかい)に登場(とうじょう)したELSA(エルサ)−d(ディー)の模型(もけい)。本物(ほんもの)は約(やく)120キロの超小型衛星(ちょうこがたえいせい)。右側(みぎがわ)の布(ぬの)で覆(おお)われた突起部分(とっきぶぶん)が磁石(じしゃく)。エンジンを搭載(とうさい)し、太陽光(たいようこう)パネルで発電(はつでん)して動(うご)く=名古屋(なごや)市港区(みなとく)で

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 役目(やくめ)を終(お)えた人工衛星(えいせい)や打(う)ち上げに使(つか)われたロケットの部品(ぶひん)、破片(はへん)などの「宇宙(うちゅう)ごみ」(スペースデブリ)を掃除(そうじ)する技術(ぎじゅつ)の開発(かいはつ)が進(すす)んでいます。欧州(おうしゅう)宇宙機関(きかん)(ESA(イーエスーエー))やアメリカ航空(こうくう)宇宙局(きょく)(NASA(ナサ))など、いろいろな国や機関が研究(けんきゅう)中。そんな中、日本発(はつ)のベンチャー企業(きぎょう)「アストロスケール」(本社シンガポール)が世界(せかい)で初(はじ)めてビジネス化(か)を計画し、注目(ちゅうもく)を集(あつ)めています。 (今村節(いまむらせつ))

 宇宙(うちゅう)ごみは、秒速(びょうそく)7.5キロほどの超高速(ちょうこうそく)で地球(ちきゅう)の周(まわ)りを回っています。90分で地球を1周(いっしゅう)できる速(はや)さ。人工衛星(えいせい)などは衝突(しょうとつ)すると大きな被害(ひがい)を受(う)けます。

 制御(せいぎょ)も不能(ふのう)な上、自転(じてん)しているごみもあります。見つけるのも捕(つか)まえるのも至難(しなん)の業(わざ)。ロボットアームや網(あみ)など、いろんな方法(ほうほう)が研究(けんきゅう)されていますが、実用化(じつようか)には至(いた)っていません。

 アストロスケールは2020年、人工衛星を打(う)ち上げる企業(きぎょう)や国の機関(きかん)を相手(あいて)に、宇宙ごみを掃除(そうじ)するサービスを始(はじ)める予定(よてい)です。古くなったり壊(こわ)れたりした人工衛星を軌道(きどう)から取(と)り除(のぞ)き、新しい人工衛星を投入(とうにゅう)できるようにするのです。技術(ぎじゅつ)は研究中で、経営陣(けいえいじん)にはNASA(ナサ)の元幹部(かんぶ)らが参加(さんか)し、宇宙航空(こうくう)研究開発機構(かいはつきこう)(JAXA(ジャクサ))も協力(きょうりょく)しています。

 具体的(ぐたいてき)には磁石(じしゃく)が付(つ)いた掃除専用(せんよう)の人工衛星を宇宙に飛(と)ばします。依頼(いらい)した企業などの人工衛星が故障(こしょう)した場合、センサーやカメラで識別(しきべつ)し、接近(せっきん)。磁石でくっつけて、一緒(いっしょ)に大気圏(たいきけん)に突入(とつにゅう)し燃(も)えてしまいます。

 19年前半に人工衛星「ELSA(エルサ)−d(ディー)」を打ち上げ、実証実験(じっしょうじっけん)を行う予定です。「宇宙ごみは100パーセント、人間が原因(げんいん)。人間が解決(かいけつ)しなければいけません」と、同社の最高(さいこう)経営責任者(せきにんしゃ)(CEO(シーイーオー))岡田光信(おかだみつのぶ)さん(44)。

 国の機関も研究しています。JAXAは12年、導電性(どうでんせい)テザー(EDT(イーディーティー))を使(つか)った技術を開発し始めました。テザーとはひものことです。宇宙ごみに金属(きんぞく)性のひもを取り付け、ひもに電気を流(なが)します。すると地球の磁場の影響(えいきょう)で、ごみは進行方向(しんこうほうこう)と逆向(ぎゃくむ)きの力を受け、減速(げんそく)。自然(しぜん)に高度(こうど)が下がり、そのまま大気圏に落下(らっか)して燃えます。今年、宇宙ステーション補給機(ほきゅうき)「こうのとり」を使って実験しました。成功(せいこう)しなかった作業(さぎょう)もあり、20年代(ねんだい)の再(さい)実験を検討(けんとう)しています。

 宇宙(うちゅう)ごみはどのくらいあるのでしょうか?

 JAXA(ジャクサ)によると、1ミリ以上(いじょう)のものは1億個(おくこ)以上といわれています。人工衛星(えいせい)が多い高度(こうど)700〜1000キロの軌道(きどう)に密集(みっしゅう)し、ごみ同士(どうし)が衝突(しょうとつ)して増(ふ)えています。

 また人工衛星は、衛星利用測位(りようそくい)システム(GPS(ジーピーエス))や天気予報(よほう)、衛星放送(ほうそう)などに使(つか)われ、需要(じゅよう)が高まっています。各国(かっこく)で打(う)ち上げられる数は急増(きゅうぞう)中。インターネット網(もう)を構築(こうちく)するため、民間企業(みんかんきぎょう)が次々(つぎつぎ)と数1000基(き)を打ち上げる計画を立てており、宇宙ごみは今後も増え続(つづ)ける見通しです。

 アメリカは、宇宙ごみを24時間体制(たいせい)で監視(かんし)しています。人工衛星や国際(こくさい)宇宙ステーションは、位置(いち)が分かっているごみを避(さ)けながら活動(かつどう)していますが、全(すべ)てを避けられるわけではありません。2009年、アメリカの通信(つうしん)衛星は、宇宙ごみとなったロシアの人工衛星に衝突し、壊(こわ)れてしまいました。

 国際機関(きかん)間スペースデブリ調整会議(ちょうせいかいぎ)(IADC(アイエーディーシー))や国連(こくれん)は、宇宙ごみを減(へ)らすための国際ルールを作ろうと話し合っています。JAXAの担当者(たんとうしゃ)、河本聡美(かわもとさとみ)さんは「宇宙ごみは、私(わたし)たちが宇宙を安全(あんぜん)に利用する上で避けては通れない問題(もんだい)。ルール作りにも力をいれたいです」と話しました。

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