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知るコレ!

まちの「活力」見える 地価 

高層(こうそう)ビルが立ち並(なら)ぶ名古屋駅前(なごやえきまえ)(本社ヘリ「あさづる」から撮影(さつえい))

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 皆(みな)さんは自分が住(す)むまちについて知っていますか。わがまちを知るヒントの一つが、定期的(ていきてき)に公表(こうひょう)される「地価(ちか)」。土地の値段(ねだん)を意味(いみ)するこの数字から、経済的(けいざいてき)なまちの評価(ひょうか)や勢(いきお)い、将来像(しょうらいぞう)が見えてきます。 (那須政治(なすまさはる))

 高層(こうそう)ビルが立ち並(なら)ぶ名古屋駅前(なごやえきまえ)。大勢(おおぜい)の人がせわしなく行き交います。駅周辺(しゅうへん)はここ数年、高層ビルの開業(かいぎょう)ラッシュとなり、お店やオフィスが増(ふ)えました。

 昨年(さくねん)、経営(けいえい)する会社を駅近くに移(うつ)した40代(だい)の男性(だんせい)社長は「お客(きゃく)さんに景気(けいき)がよいイメージを与(あた)えられます。交通の便(べん)もよく、東京(とうきょう)まで40分で結(むす)ぶ2027年開業のリニア新幹線(しんかんせん)への期待(きたい)も大きいです」と言います。

 地価(ちか)は毎年、全国(ぜんこく)の代表的(だいひょうてき)な地点での調査結果(ちょうさけっか)を、国や都道府県(とどうふけん)が発表(はっぴょう)します=表。名古屋駅前は今年7月、1年前と比(くら)べた価格上昇率(かかくじょうしょうりつ)で商業地(しょうぎょうち)の全国トップ10(テン)に3地点が入りました。男性社長のように土地の魅力(みりょく)を感(かん)じ、店や事務所(じむしょ)を構(かま)える価値(かち)があると考える人が増えたからです。

 なぜ地価が発表されるのでしょう。そもそも土地には、お菓子(かし)やジュースなどのような定価(ていか)がありません。形や周囲(しゅうい)の地形、駅までの距離(きょり)、交通など条件(じょうけん)がさまざまで、同じ土地が存在(そんざい)しないからです。売り買いや、貸(か)し借(か)りをしたい人同士(どうし)が「これでよい」と合意(ごうい)した額(がく)で取引(とりひき)されます。

 日本では戦後(せんご)の高度経済成長期(こうどけいざいせいちょうき)に街(まち)の開発(かいはつ)が広がり、土地を買いたい人が増えて、土地の値段(ねだん)がつり上がりました。国は1969年、公正な価格競争(きょうそう)が進(すす)むように制度(せいど)を設(もう)け、実際(じっさい)の取引に基(もと)づく目安(めやす)の金額として地価を調(しら)べて、翌年(よくねん)、公表を始(はじ)めたのです。

 地価から何が見えるのでしょう。不動産(ふどうさん)サービス業CBRE(シービーアールイー)の不動産鑑定士(かんていし)・佐々木清次(ささきせいじ)さん(43)は「ポイントは人の流(なが)れと利便(りべん)性です」と話します。

 駅や新興住宅(しんこうじゅうたく)地、幹線道路沿(どうろぞ)いなど、人が集(あつ)まる場所には、商売をする人がやって来ます。まちが便利になって、そこに住(す)んだり店を出したりしようとする人がさらに増えて土地を買い求(もと)め、地価も上がります。

 2005年の万国博覧会(ばんこくはくらんかい)を機(き)に開発が加速(かそく)した愛知県長久手(あいちけんながくて)市は、この流れにあるまちの一つ。人口が増え、大型(おおがた)商業施設(しせつ)も進出(しんしゅつ)しました。

 地価(ちか)は経済(けいざい)の活力を示(しめ)すといいます。出身地(しゅっしんち)・岐阜県大垣(ぎふけんおおがき)市の空き家問題(もんだい)にも関(かか)わった経験(けいけん)のある日本大教授(きょうじゅ)の清水千弘(しみずちひろ)さん(50)は、「われわれが暮(く)らす日本全体(ぜんたい)の住宅(じゅうたく)地の平均(へいきん)地価は、2040年には今の3分の1になるかもしれない」と試算(しさん)。日本経済の力が衰(おとろ)えていくと警鐘(けいしょう)を鳴らします。

 理由(りゆう)は今、日本で進行(しんこう)している、赤ちゃんの数が減(へ)る少子化(しょうしか)と、お年寄(としよ)りの比率(ひりつ)が増(ふ)える高齢(こうれい)化。次第(しだい)に「生産年齢(せいさんねんれい)人口」と呼(よ)ばれる働(はたら)く世代(せだい)が減って、たくさん物(もの)を買う人が少なくなります。景気(けいき)が悪(わる)くなり、人々が住(す)まいにかける出費(しゅっぴ)が減り、土地が安(やす)い値(ね)でしか取引(とりひき)されなくなるといいます。

 地価は、市町村が土地や建物(たてもの)などにかける固定資産税(こていしさんぜい)の額(がく)を決(き)める基(もと)にもなっているので、地価が下がると、市町村の財政(ざいせい)を支(ささ)える収入(しゅうにゅう)が減ります。教育(きょういく)やごみ処理(しょり)など、公共(こうきょう)サービスに影響(えいきょう)が出るかもしれません。

 暗(くら)い未来(みらい)にならないためにも、「まず地域(ちいき)の行事(ぎょうじ)に積極的(せっきょくてき)に参加(さんか)しつつ、地元を知り、幸(しあわ)せな空間とは何かを考えてみよう」と清水さん。外部(がいぶ)から魅力(みりょく)的に映(うつ)る地域のにぎわいづくりには、皆(みな)さんの世代(せだい)の力も無視(むし)できないのですよ。

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