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知るコレ!

形の情報を基に立体化 3Dプリンター

新しいデザインの医療器具(いりょうきぐ)を手にする国本桂史教授(くにもとかつしきょうじゅ)。手前は肺(はい)と周辺組織(しゅうへんそしき)の模型(もけい)(左)と歯科(しか)の麻酔(ますい)用注射器(ちゅうしゃき)。いずれも3D(スリーディー)プリンターを使(つか)い作った=名古屋(なごや)市瑞穂区(みずほく)の名古屋市立大病院(びょういん)で

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 樹脂(じゅし)や金属(きんぞく)の粉(こな)などを固(かた)めて、思い通りの立体を作る3D(スリーディー)プリンター。最近(さいきん)では、技術(ぎじゅつ)・家庭科(かていか)の授業(じゅぎょう)で、これを使(つか)い物作(ものづく)りをする中学校もあります。プリンターは、産業(さんぎょう)や医療(いりょう)の分野でも活躍(かつやく)の場を広げています。 (佐橋大(さはしひろし))

(左)生徒(せいと)たちの作品(さくひん)作りに使(つか)った3D(スリーディー)プリンター (右)3Dプリンターで作った「タブレットスタンド」について説明(せつめい)する生徒=いずれも愛知県岡崎(あいちけんおかざき)市の愛知教育(きょういく)大付属(ふぞく)岡崎中学校で

 10月、愛知県岡崎(あいちけんおかざき)市の愛知教育(きょういく)大付属(ふぞく)岡崎中学校。2年生が、タブレット端末(たんまつ)を立て掛(か)ける「タブレットスタンド」を見せ、工夫(くふう)した点を発表(はっぴょう)していました。

 スタンドは前の時間までに、一人一人がコンピューターのソフトで設計(せっけい)し、その情報(じょうほう)を3D(スリーディー)プリンターに送(おく)り、作りました。ソフトは、球(きゅう)や直方体といった形を基(もと)に、角に丸みを持(も)たせたり、角度(かくど)を変(か)えたりと、さまざまな形を設計できます。どうすれば思い描(えが)く形になるのか、生徒(せいと)たちは考えました。

 3Dプリンターは、コンピューターで作られた立体のデータを、輪切(わぎ)りにして読み込(こ)みます。その情報を基に、溶(と)かした樹脂(じゅし)を層状(そうじょう)に積(つ)み重(かさ)ねていきます。

 この中学校では、他(ほか)の学校から借(か)りるなどして4台のプリンターを準備(じゅんび)。その長所(ちょうしょ)や短所(たんしょ)に気付(きづ)くことなどを目標(もくひょう)に、今年から授業(じゅぎょう)に取(と)り入れました。長澤啓介(ながさわけいすけ)先生(34)は「生徒たちが、どんどん考えを深(ふか)める。考える力がつく」と話します。

 この学校にある3Dプリンターは樹脂を熱(ねつ)で溶かして固(かた)めますが、特定(とくてい)の光を当てると硬(かた)くなる樹脂を使(つか)う機械(きかい)や、金属(きんぞく)の粉末(ふんまつ)を吹(ふ)き付(つ)けながら、それにレーザー光を当てて、焼(や)き固める機械など、さまざまなプリンターがあります。

 先月、名古屋(なごや)市内で開(ひら)かれた、金属を加工(かこう)する「工作機械」の見本市では、金属を削(けず)る工作機械に、レーザー光で金属を固める3Dプリンターの機能(きのう)を組み込んだ機種(きしゅ)を、複数(ふくすう)の会社が展示(てんじ)していて、注目(ちゅうもく)されました。複雑(ふくざつ)な形の部品(ぶひん)などを短時間で作るのに力を発揮(はっき)するそうです。

 「3D(スリーディー)プリンターが物作(ものづく)りに急激(きゅうげき)な変化(へんか)をもたらす可能性(かのうせい)がある」。4年前、アメリカのオバマ前大統領(だいとうりょう)の演説(えんぜつ)で、3Dプリンターは世間(せけん)の注目(ちゅうもく)を集(あつ)めるようになりました。

 実際(じっさい)にさまざまな場面(ばめん)で使(つか)われています。名古屋(なごや)市立大病院医療(びょういんいりょう)デザイン研究(けんきゅう)センターは、医療機器(きき)で写(うつ)した患者(かんじゃ)の体の中の画像(がぞう)データを基(もと)に、臓器(ぞうき)の模型(もけい)を作っています。難(むずか)しい手術(しゅじゅつ)の前に、やり方を考えるのに使います。事前(じぜん)に考えることで、手術時間が大幅(おおはば)に短(みじか)くなります。

 センターは、3Dプリンターを使い、まったく新しい形の注射器(ちゅうしゃき)などを設計(せっけい)しています。「考えた形をすぐに実物(じつぶつ)にし、微調整(びちょうせい)できる」とセンター長を務(つと)める国本桂史教授(くにもとかつしきょうじゅ)(64)は話します。喉(のど)を観察(かんさつ)する器具(きぐ)など、設計した製品(せいひん)の中には、実用化(じつようか)されて役立(やくだ)っているものもあります。

 でも実は、昨年(さくねん)、国内での3Dプリンターの販売(はんばい)台数は減(へ)っています。

 調査(ちょうさ)会社のインターナショナルデーターコーポレーションジャパン(東京(とうきょう))によると、デスクトップのプリンターの昨年の販売数は、約(やく)6000台で前の年から約1割減少(わりげんしょう)。より専門的(せんもんてき)なプリンターの販売も1200台で、わずかに減っています。「3Dプリンターが何でもできる魔法(まほう)の箱(はこ)ではないと認識(にんしき)された結果(けっか)」と、この会社はみています。今後も本体の販売台数は減る見込(みこ)みですが、形を作る材料(ざいりょう)やプリンターが生み出すサービスを含(ふく)めた「3Dプリンティング市場」は広がると考えています。

生徒(せいと)たちの作品(さくひん)作りに使(つか)った3D(スリーディー)プリンター=愛知県岡崎(あいちけんおかざき)市の愛知教育(きょういく)大付属(ふぞく)岡崎中学校で

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