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知るコレ!

悩み聞く「心の専門家」 スクールカウンセラー

友達(ともだち)から悩(なや)みを打(う)ち明けられたときの対処法(たいしょほう)などについて伝(つた)えるスクールカウンセラーの今村咲枝(いまむらさきえ)さん=名古屋(なごや)市千種区(ちくさく)で

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 友達関係(ともだちかんけい)がうまくいかなかったり、いじめに遭(あ)ったりして学校に行くのがつらいとき、周(まわ)りに悩(なや)みを話せる人はいますか? 親でも先生でもない立場で相談(そうだん)に乗(の)ってくれるのが「スクールカウンセラー」と呼(よ)ばれる心の専門家(せんもんか)。学校生活をサポートしようと、急(きゅう)ピッチで配置(はいち)が進(すす)められています。 (川合道子(かわいみちこ))

 友達(ともだち)と仲良(なかよ)くできなかったり、将来(しょうらい)のことに悩(なや)んだりしてストレスがたまったとき、みんなはどうしていますか? 音楽を聴(き)く、ボーッとする、布団(ふとん)をかぶって叫(さけ)ぶ…。きっと自分なりの解消法(かいしょうほう)があると思いますが、「誰(だれ)かに話を聞いてもらうと、心がスーッと楽になるかもしれません」。

 名古屋(なごや)市千種区(ちくさく)の振甫(しんぽ)中学校の授業(じゅぎょう)で、そう話したのは臨床心理士(りんしょうしんりし)の今村咲枝(いまむらさきえ)さん。この学校に常駐(じょうちゅう)している「スクールカウンセラー」です。

 ただ相談(そうだん)に来る人を待(ま)つだけではありません。毎朝のように校門に立って登校(とうこう)してくる生徒(せいと)たちに声を掛(か)けたり、先生と情報交換(じょうほうこうかん)をしたりして、日常(にちじょう)の小さな変化(へんか)を見逃(みのが)さないようにアンテナを張(は)っています。

 記者(きしゃ)が取材(しゅざい)で訪(たず)ねた日は2年生の教室で授業をしていました。生徒たちに伝授(でんじゅ)していたのは「きようしつ」という合言葉(あいことば)です。「気づく、寄(よ)り添(そ)う、受(う)け止める、信頼(しんらい)できる大人に、つなげよう」の頭文字を並(なら)べたもの。友達から困(こま)りごとを打(う)ち明けられたときに気を付(つ)けるポイントを、実演(じつえん)を交えて教えていました。

 悩みを抱(かか)えているとき、大人ではなく友人に「軽(かる)いノリ」で話す人もいます。「冗談(じょうだん)だと思って話を茶化(ちゃか)さず、相手(あいて)のピンチに気づいて信頼できる大人につないでほしい」と今村さん。

 いじめに遭(あ)った人の中には悩みを誰にも相談せず、一人で抱え込(こ)んでしまうケースが少なくありません。「困った人が気軽(きがる)に『助(たす)けて』と言えるようにすることが大事(だいじ)」と話します。

 国によると、スクールカウンセラーを学校に置(お)く事業(じぎょう)は1995年度(ねんど)にスタートし、20年間で約(やく)2万の小中学校に広がりました。でも一人が複数(ふくすう)の学校などを掛(か)け持(も)ちしている場合が多く、学校にとっては月に数回しか来ていないのが現状(げんじょう)です。

 そこで進(すす)めようとしているのが、毎日学校にいる常勤(じょうきん)のカウンセラーを増(ふ)やすことです。名古屋(なごや)市では3年前、全国(ぜんこく)に先駆(さきが)けて心や福祉(ふくし)の専門家(せんもんか)でつくる「なごや子ども応援委員会(おうえんいいんかい)」を発足(ほっそく)させ、カウンセラーの常勤化(か)を始(はじ)めました。

 きっかけは生徒(せいと)がいじめを苦(く)に自ら命(いのち)を絶(た)ったことでした。子どもたちの人間関係(かんけい)は日々刻々(こくこく)と変(か)わり、いじめや不登校(ふとうこう)の背景(はいけい)に家庭(かてい)の貧困(ひんこん)や虐待(ぎゃくたい)といった問題(もんだい)が隠(かく)れていることも。市の担当者(たんとうしゃ)は「先生に加(くわ)えて専門家の力が必要(ひつよう)になっている」と話します。

 2年後には現在(げんざい)の中学58校から全中学110校に広げる計画。国も、このような先生以外(いがい)の専門の職員(しょくいん)を配置(はいち)して学校全体をサポートする仕組(しく)み「チーム学校」を進めています。

 大変(たいへん)なのが、カウンセラーになる人の確保(かくほ)です。担(にな)い手の多くは臨床心理士(りんしょうしんりし)という資格(しかく)を持っている人ですが、日本臨床心理士会(東京都(とうきょうと))によると、最近(さいきん)は病院(びょういん)や企業(きぎょう)などからも必要とされることが多く、人手不足(ぶそく)といいます。

 学校現場を支(ささ)える専門家を育(そだ)てようと、名古屋市立大や愛知教育(あいちきょういく)大(愛知県刈谷(けんかりや)市)では、今年から新しいコースやカリキュラムを整(ととの)えるなど取(と)り組みが活発(かっぱつ)化。県内の小学校では愛知教育大の学生たちが「子どもに寄(よ)り添(そ)い、笑顔(えがお)を守(まも)ることができるようなカウンセラーになりたい」と実習(じっしゅう)に励(はげ)んでいました。

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