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知るコレ!

液晶に代わる次世代型 有機ELテレビ

各(かく)メーカーの有機EL(ゆうきイーエル)テレビが並(なら)ぶ売り場=名古屋(なごや)市中村区(なかむらく)のエディオン名古屋本店で

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 有機EL(ゆうきイーエル)テレビって知っていますか? 今年は、日本のメーカーが相次(あいつ)いで発売(はつばい)し、「有機EL元年」と言われています。家電量販店(りょうはんてん)には特設(とくせつ)コーナーもできました。テレビの主流(しゅりゅう)がブラウン管(かん)から液晶(えきしょう)に変(か)わって久(ひさ)しいですが、有機ELテレビは、液晶に代(か)わる次世代(じせだい)テレビとして注目(ちゅうもく)されています。 (今村節(いまむらせつ))

 テレビを見る人にとって、有機EL(ゆうきイーエル)テレビが液晶(えきしょう)テレビと最(もっと)も違(ちが)うのは画像(がぞう)の鮮(あざ)やかさです。有機ELは闇(やみ)のように暗(くら)い漆黒(しっこく)を表(あらわ)すことができるので、明るいものをはっきり浮(う)かび上がらせます。夜空の花火や輝(かがや)く星空も美(うつく)しく表現(ひょうげん)できます。

 なぜでしょう。テレビの画面(がめん)を分解(ぶんかい)して見てみましょう。

 画面は、電子部品(ぶひん)を組み込(こ)んだガラス基板(きばん)や、カラーフィルターなどを重(かさ)ねた、サンドイッチのような構造(こうぞう)のパネルでできています=図。

 有機ELのパネルは、画像をつくる非常(ひじょう)に小さなブロック「素子(そし)」の1つ1つが発光(はっこう)する仕組(しく)みです。自ら光り画面に映像(えいぞう)を表示(ひょうじ)します。すべてが消(き)えると真(ま)っ黒な画像も表現できます。一方、液晶は素子が発光しないので、後方から照(て)らすバックライトの光が必要(ひつよう)です。光をさえぎることで黒を表現しますが、どうしても光が漏(も)れてしまい、真っ黒な画像はできません。

 有機ELのパネルが発光する原理は、ホタルが光るのと似(に)ているそうです。どちらも、エネルギーを光として放出(ほうしゅつ)しているのです。

 「ホタルは化学反応(かがくはんのう)で、有機ELは電気が流(なが)れることでエネルギーを生み出し、光ります」と一般社団法人(いっぱんしゃだんほうじん)電子情報技術産業協会(じょうほうぎじゅつさんぎょうきょうかい)電子部品部の大山裕(おおやまゆたか)さん(61)は解説(かいせつ)します。ホタルは、おしりの近くにあるルシフェリンという物質(ぶっしつ)が酵素(こうそ)の働(はたら)きで起(お)きる化学反応で、有機ELは、特定(とくてい)の有機化合物(かごうぶつ)に電気が流れることで、それぞれエネルギーを生み出し、それを光として放(はな)ちます。有機化合物とは、生きものを構成(こうせい)する物質「有機物」などの総称(そうしょう)です。有機ELとは、有機Electro(エレクトロ) Luminescence(ルミネッセンス)の略(りゃく)。エレクトロは「電気の」、ルミネッセンスは「発光現象(げんしょう)」という意味(いみ)で、仕組みそのものです。

 今年、なぜ日本のメーカーが相次(あいつ)いで有機EL(ゆうきイーエル)テレビを発売(はつばい)したのでしょう。それもパネルが理由(りゆう)の1つです。

 現在(げんざい)、大型(おおがた)の有機ELテレビのパネルを量産(りょうさん)できるのは世界(せかい)で1社。韓国(かんこく)の総合(そうごう)家電メーカー「LG(エルジー)グループ」の「LGディスプレイ」です。パネルの量産は難(むずか)しく、日本のメーカーも挑戦(ちょうせん)しましたが、新しい方法(ほうほう)を用いたLGディスプレイが2013年、先に成功(せいこう)。それを使(つか)ったテレビを15年、「LGエレクトロニクス・ジャパン」が日本で販売(はんばい)し、その後、パネルも安定供給(あんていきょうきゅう)され、テレビの発売ラッシュにつながりました。

 ただ、有機ELテレビは液晶(えきしょう)テレビより高額(こうがく)です。調査(ちょうさ)会社「BCN(ビーシーエヌ)」によると、人気の高い4K(ケー)の場合、液晶テレビ14万2000円(9月平均単価(へいきんたんか)、税抜(ぜいぬ)き)に対(たい)して有機ELテレビは38万7000円(同)と2倍以上(ばいいじょう)。割高(わりだか)な材料(ざいりょう)と新しい設備(せつび)などで生産コストがかさみます。

 調査会社「富士(ふじ)キメラ総研(そうけん)」は、有機ELテレビの出荷(しゅっか)数は22年に1100万台で、昨年(さくねん)の約(やく)13倍に増(ふ)えると予想(よそう)。それでもテレビ全体(ぜんたい)の4・7%です。

 「パネルを作るメーカーが増えて価格(かかく)が下がらないと、普及(ふきゅう)は難しいでしょう」とBCNのアナリスト道越一郎(みちこしいちろう)さん(53)。行方(ゆくえ)に注目(ちゅうもく)が集(あつ)まります。

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