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知るコレ!

病院、研究所で広く活躍 獣医師

動物病院(どうぶつびょういん)の麻酔科(ますいか)の准教授(じゅんきょうじゅ)として活躍(かつやく)する柴田(しばた)さん(左)=岐阜(ぎふ)市柳戸(やなぎと)の岐阜大で

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 獣医師(じゅういし)のこと、知っていますか? ペットを飼(か)っていて、憧(あこが)れている人も多いかもしれません。「動物(どうぶつ)のお医者(いしゃ)さん」というイメージが強いですが、大学で専門的(せんもんてき)に学んで獣医師の資格(しかく)を取(と)った後は、幅広(はばひろ)い分野で活躍(かつやく)していることが分かりました。

 (芦原千晶(あしはらちあき))

 「いい子だね」。岐阜(ぎふ)市の岐阜大学内にある動物病院(どうぶつびょういん)の一室。採血(さいけつ)で犬に語りかけたのは、獣医師(じゅういし)で麻酔科(ますいか)の准教授(じゅんきょうじゅ)、柴田早苗(しばたさなえ)さん(38)です。獣医師は小学生の時に読んだ盲導犬(もうどうけん)の本や漫画(まんが)の影響(えいきょう)で憧(あこが)れ、「自分のペットの体調(たいちょう)も診(み)てあげたい」と志(こころざ)したそうです。

 獣医師になるには、全国(ぜんこく)に16ある大学の獣医系学部(けいがくぶ)・学科に入り、6年間学ぶ必要(ひつよう)があります。動物の体を詳(くわ)しく学ぶ解剖(かいぼう)学や薬(くすり)の効果(こうか)を知る薬理(やくり)学などを勉強(べんきょう)し、実際(じっさい)の動物を使(つか)ったり動物病院の各診療(かくしんりょう)科を回ったりする実習(じっしゅう)もこなします。国家試験(しけん)に合格(ごうかく)したら、晴れて獣医師です。

 柴田さんは岐阜大の大学院で学んだ後、母校の教員(きょういん)になりました。今は犬や猫(ねこ)などを相手(あいて)に、けがや病気を治(なお)す手術(しゅじゅつ)の前に麻酔をする仕事(しごと)や、麻酔後の体温(たいおん)が下がらないように管理(かんり)する研究(けんきゅう)をしています。

 「治療(ちりょう)して、飼(か)い主(ぬし)さんに安心(あんしん)して喜(よろこ)んでもらうのがやりがい」と柴田さん。動物は話せないので「どこが、いつから痛(いた)い?」と質問(しつもん)できないところが難(むずか)しく、つらいのは、腎臓病(じんぞうびょう)やがんなどで治療のかいなく動物が死(し)ぬ時といいます。「飼い主さんは普段(ふだん)の様子(ようす)や寝息(ねいき)をチェックして、おかしい時はすぐに病院に連(つ)れていってくださいね」

 次(つぎ)に、岐阜市の岐阜県中央家畜保健衛生所(けんちゅうおうかちくほけんえいせいしょ)で働(はたら)く松野弘(まつのひろし)さん(57)を訪(たず)ねました。「私(わたし)たちは公務員(こうむいん)獣医師です。牛や豚(ぶた)など皆(みな)さんが食べる動物の健康(けんこう)を守(まも)ったり、お肉が安全かどうかを調(しら)べたり、動物愛護(あいご)センターで働いたりしています」と説明(せつめい)してくれました。

 松野さんの職場(しょくば)では、動物たちが病気にかからないように、日ごろは縁(えん)の下の力持(ちからも)ちとして養鶏場(ようけいじょう)や養豚(ようとん)場などを回って検査(けんさ)します。不幸(ふこう)にも、鳥インフルエンザや牛や豚の口蹄疫(こうていえき)など伝染(でんせん)する病気が発生(はっせい)した場合は、周(まわ)りに広がらないように真(ま)っ先に駆(か)けつけ、寝(ね)る間も惜(お)しんで対処(たいしょ)します。

 松野さんは岐阜県高山(たかやま)市の畜産(ちくさん)研究所で、おいしいと有名(ゆうめい)な飛騨(ひだ)牛をより多く育(そだ)てるための研究もしていたそうです。「100頭もの世話(せわ)をするうちに、牛がかわいいと思うようになりました」。体重(たいじゅう)400キロほどの牛にじゃれられて、怖(こわ)い思いをしたこともあるとか。

 「皆さんの毎日の食卓(しょくたく)にお肉や卵(たまご)、牛乳(ぎゅうにゅう)を届(とど)けるために、牛や豚、鶏(にわとり)などを育てる人々や、さらに後ろから支(ささ)える公務員獣医師が頑張(がんば)っていることを知っていてね」と語りました。

 国が加計(かけ)学園の獣医学部(じゅういがくぶ)の新設(しんせつ)を認(みと)めるかどうかが、問題(もんだい)になっていますね。今、日本に獣医師(じゅういし)は十分いるのでしょうか。

 農林水産省(のうりんすいさんしょう)によると、2014年は約(やく)3万9000人。そのうち公務員(こうむいん)獣医師が約9500人、犬や猫(ねこ)を診(み)る個人病院(こじんびょういん)の獣医師が約1万5200人です=グラフ。最近(さいきん)は獣医学生の約半数が女性(じょせい)で、女性獣医師が増(ふ)えているそうです。

 動物(どうぶつ)病院を営(いとな)む岐阜県(ぎふけん)獣医師会の石黒利治(いしぐろとしはる)会長(69)は「全体的(ぜんたいてき)には足りているが、公務員獣医師は、その役割(やくわり)や責任(せきにん)に見合った処遇(しょぐう)がされておらず、地域(ちいき)による所得(しょとく)の格差(かくさ)もあるため、特(とく)に地方で足りない」と指摘(してき)します。

 ここ10年は、犬の飼育(しいく)数が減(へ)り、猫が微増(びぞう)しています。「動物病院の競争(きょうそう)は激(はげ)しく経営(けいえい)も厳(きび)しくなっている。むしろ、公務員獣医師の重要性(じゅうようせい)を広め、待遇(たいぐう)の改善(かいぜん)や働(はたら)きやすい職場環境(しょくばかんきょう)の整備(せいび)をすべきだ」と訴(うった)えました。

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