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知るコレ!

成長期は大きなリスク スポーツ傷害

講習会(こうしゅうかい)で、甲子園球児(こうしえんきゅうじ)に施(ほどこ)すストレッチの実技(じつぎ)を確認(かくにん)する理学療法士(りがくりょうほうし)たち=大阪(おおさか)市内で

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 夏休みは、部活(ぶかつ)などでスポーツの練習(れんしゅう)や試合(しあい)に打(う)ち込(こ)める時期(じき)です。競技力(きょうぎりょく)アップのためには練習が欠(か)かせませんが、成長(せいちょう)期の皆(みな)さんの体には、「スポーツ傷害(しょうがい)」のリスクが潜(ひそ)むことを知っていますか。ジュニア世代(せだい)のスポーツと体の付(つ)き合い方を考えてみました。 (那須政治(なすまさはる))

◆関節が弱く故障しやすい

 スポーツ傷害(しょうがい)は、運動(うんどう)によって体の組織(そしき)に生じる小さな傷(きず)が積(つ)み重(かさ)なって起(お)こる障害(しょうがい)(故障(こしょう))と、当たった、ひねったなど、外から思いがけず大きい力がかかって起きる外傷(がいしょう)(けが)の二つがあります。

 小学校高学年−高校生の体は、骨(ほね)の端(はし)や骨同士(どうし)をつなぐ関節(かんせつ)が大人に比(くら)べてまだ弱い状態(じょうたい)にあります。骨の周(まわ)りの筋腱(きんけん)(筋肉や腱)も骨の成長(せいちょう)で引っ張(ぱ)られて柔軟性(じゅうなんせい)が失(うしな)われ故障しやすくなっています。体の許容量(きょようりょう)を超(こ)えた使(つか)い過(す)ぎが理由(りゆう)の障害は少なくありません。

 そんな成長期(き)のスポーツ傷害を予防(よぼう)しようと取(と)り組みが始(はじ)まっています。

 少年硬式野球(こうしきやきゅう)で東海(とうかい)・北陸(ほくりく)の三十二クラブが加盟(かめい)する「リトルリーグ東海連盟(れんめい)」は、二〇〇二年に「からだ向上(こうじょう)プロジェクト」を始め、医師(いし)などを招(まね)いた講習会(こうしゅうかい)を定期的(ていきてき)に開催(かいさい)。組織ぐるみで予防に当たります。各(かく)チームで選手(せんしゅ)の健康(けんこう)状態を共有(きょうゆう)できるよう「野球健康手帳(てちょう)」も作りました。

 選手の成長や体力テストの推移(すいい)、筋肉の特徴(とくちょう)、故障歴(れき)などのあらゆる情報(じょうほう)を各選手が記録(きろく)し、一人一冊(さつ)にまとめています。指導者(しどうしゃ)や保護(ほご)者も目を通します。東海連盟理事(りじ)で「名古屋北(なごやきた)」の野道輝夫監督(のみちてるおかんとく)(77)は「手帳の導入(どうにゅう)で、予防の意識(いしき)が高まった」と効果(こうか)を説明(せつめい)しますが、完璧(かんぺき)ではありません。

 名古屋北の六年生のある選手は昨秋(さくしゅう)、練習(れんしゅう)中に投球(とうきゅう)フォームがふだんと違(ちが)うと指摘(してき)され、病院(びょういん)へ行きました。診断(しんだん)は、上腕(じょうわん)の軟骨部分(なんこつぶぶん)が損傷(そんしょう)する「リトルリーグ肩(かた)」。

 監督が確認(かくにん)したところ、選手は痛(いた)みを感(かん)じていたのに、周りに言わなかったそうです。診断後に手帳に記したのは「夜練(習)の時に肩がペキっと」。病状が比較的軽(ひかくてきかる)く、現在(げんざい)は投球を再開(さいかい)していますが、野道監督は「選手からは『痛い』とは言い出さないもの。指導者が異常(いじょう)を見抜(みぬ)く目を養(やしな)うべきだ」と話します。

 選手にも何かできるでしょうか。連盟に関(かか)わる柔道整復師馬越信行(じゅうどうせいふくしうまこしのぶゆき)さん(55)は「運動前にジョギングなどで体をじっくり温(あたた)め、運動後は固(かた)まった筋肉を緩(ゆる)めて疲労(ひろう)を取ることです」と言います。

 名古屋市内では、軟式野球の小学生のひじを調(しら)べる「野球検診(けんしん)」が一五年度(ねんど)から始まりました。担当(たんとう)する愛知医科(あいちいか)大特任教授(とくにんきょうじゅ)の岩堀裕介(いわほりゆうすけ)医師(55)は「初期段階(しょきだんかい)で痛みがない故障もある。違和感(いわかん)があれば早めに診察(しんさつ)を受(う)けてほしい」と勧(すす)めます。

◆予防のため大人も協力を

 スポーツ傷害(しょうがい)の対策(たいさく)は道半ばで、一律(いちりつ)のルールはなく、個人(こじん)やクラブ、競技団体(きょうぎだんたい)などに任(まか)せられているのが現状(げんじょう)です。野球(やきゅう)に限(かぎ)らず、各(かく)競技で取(と)り組まれ、競技会の現場でもサポート態勢(たいせい)が整(ととの)いつつあります。

 高校野球の甲子園(こうしえん)大会では連日(れんじつ)、十人超(ちょう)の理学療法士(りがくりょうほうし)らが待機(たいき)。試合(しあい)前後の選手(せんしゅ)にテーピングやアイシング、マッサージ、ストレッチなどを施(ほどこ)しています。

 中日(ちゅうにち)ドラゴンズや名古屋(なごや)グランパスのチームドクターを務(つと)める井戸田仁(いどたひとし)さん(61)は、子どものスポーツ傷害の予防(よぼう)には、大人の協力(きょうりょく)が欠(か)かせないと言い、「子どもの体は大人の小型版(こがたばん)ではありません。傷害についてよく学び、将来(しょうらい)のために練習(れんしゅう)にブレーキをかけてあげるのも指導者(しどうしゃ)や保護(ほご)者の責任(せきにん)です」と訴(うった)えます。

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