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知るコレ!

認定待つ外国人増える 日本の難民

子どもたちに母国の言葉(ことば)や文化(ぶんか)を教えるチョウチョウソウさん(左)と妻(つま)のヌエヌエチョウさん=東京都内(とうきょうとない)で(人見泰弘准教授(ひとみやすひろじゅんきょうじゅ)の提供(ていきょう))

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 「難民(なんみん)」を知っていますか? 自分の国でひどい扱(あつか)いを受(う)け、国外に逃(に)げなければならなくなった人たちのことです。遠い国の出来事(できごと)のようですが、日本にも政治的(せいじてき)な理由(りゆう)などでさまざまな国から逃(のが)れてきた人たちがいます。20日は国連(こくれん)の「世界(せかい)難民の日」。私(わたし)たちにできることは何でしょうか。 (川合道子(かわいみちこ))

 この春、アフリカ出身(しゅっしん)の女性(じょせい)(42)が愛知県内(あいちけんない)の衣料品店(いりょうひんてん)で働(はたら)き始(はじ)めました。「新しい人生がスタートしたような気持(きも)ちです」と笑顔(えがお)で話しました。

 女性は9年前に日本に来ました。国では女の人たちの地位向上(ちいこうじょう)を求(もと)めて、政府(せいふ)と違(ちが)う考えの政党(せいとう)を支援(しえん)しようと活動(かつどう)したため、政府から拷問(ごうもん)を受(う)けたり外出先で命(いのち)を狙(ねら)われたりしました。

 身(み)の危険(きけん)が迫(せま)り、3〜6歳(さい)だった子ども3人と夫(おっと)を残(のこ)して国外に逃(のが)れました。「生きていれば、きっと会える。行き先はどこでもよかった」と振(ふ)り返(かえ)ります。

 日本では入国管理局(にゅうこくかんりきょく)に申請(しんせい)して「難民(なんみん)」と認(みと)められると、日本に住(す)む資格(しかく)がもらえます。でも自分の国の政府からひどい扱(あつか)いを受けた証拠(しょうこ)などが必要(ひつよう)なため、簡単(かんたん)には認められません。

 女性は一度(ど)「不認定(ふにんてい)」となり、裁判(さいばん)の末(すえ)に昨年(さくねん)秋、難民と認められました。申請から7年。その間は仕事(しごと)に就(つ)くことが許(ゆる)されず、英語(えいご)を教えるボランティアのお礼(れい)や知人からの借金(しゃっきん)で生計を立てていたそうです。

 子どもたちは今、日本の小中学生と同じ年齢(ねんれい)。互(たが)いの安全(あんぜん)を考え、これまで直接連絡(ちょくせつれんらく)を取(と)ったことはありません。女性は「早く生活を安定(あんてい)させ、子どもたちに会いたい」と願(ねが)います。

 難民と認めてもらおうと申請する外国人は、年々増(ふ)えています=グラフ。入国管理局によると、2016年は1万901人と初(はじ)めて1万人を超(こ)えました。ただ認められたのは、わずか28人。日本で仕事を得(え)ることを目的(もくてき)に申請する人も多くいるため、厳(きび)しく見極(みきわ)める必要があるのです。

 日本で認められる難民の少なさに、「もっと受け入れるべきだ」という意見(いけん)が強まっています。中東のシリアで内戦(ないせん)が長引き、たくさんの人が国外に逃(に)げているためです。日本政府は、シリア人の留学生(りゅうがくせい)を今年から5年間で最大(さいだい)150人受け入れます。

 国の政治(せいじ)が変(か)わり、帰国できるようになった難民(なんみん)がいます。軍事政権(ぐんじせいけん)による弾圧(だんあつ)のため日本に逃(のが)れてきたミャンマー(ビルマ)の人たちです。東京都内(とうきょうとない)で料理店(りょうりてん)を営(いとな)むチョウチョウソウさん(54)は、その一人。昨年(さくねん)3月、25年ぶりに母国の地を踏(ふ)みました。

 待(ま)ち望(のぞ)んだ帰国でしたが、「新たな問題(もんだい)が生まれています」と話します。それは日本で生まれ育(そだ)った難民の子どもたちのこと。このまま日本で暮(く)らすべきか悩(なや)む家族(かぞく)も多いといいます。

 料理店の近くにスペースを借(か)り、母国の言葉(ことば)や文化(ぶんか)などを伝(つた)える教室を始(はじ)めました。「これからの国を造(つく)るのは子どもたち。2つの国の懸(か)け橋(はし)になってほしい」と期待(きたい)します。

 私(わたし)たちにできることは何でしょうか。チョウチョウソウさんは6年前、東日本大震災(だいしんさい)の被災地(ひさいち)で、仲間(なかま)と共(とも)に炊(た)きだしなどのボランティアをしました。「困(こま)っている人を助(たす)けるのは当たり前。みんなも周(まわ)りの人を気にして声を掛(か)けてほしい。それが支(ささ)えになると思う」

 17日には名古屋(なごや)市のJICA(ジャイカ)(国際協力機構(こくさいきょうりょくきこう))中部(ちゅうぶ)で、難民として暮(く)らしてきた経験(けいけん)などについて講演(こうえん)します。企画(きかく)した名古屋難民支援室理事(しえんしつりじ)で名古屋学院(がくいん)大の人見泰弘准教授(ひとみやすひろじゅんきょうじゅ)は「難民問題を考えるきっかけになれば」と話します。詳(くわ)しくは「名古屋難民支援室」のホームページへ。

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