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知るコレ!

突然変異で品種次々 アサガオ

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 そろそろアサガオの種(たね)をまく時期(じき)です。アサガオは1200年ほど前に日本にやって来た植物(しょくぶつ)。もともとは青く小さな花を付(つ)けていましたが、今ではさまざまな色や模様(もよう)があり、中には「これがアサガオ?」と思うような形も。どうして次々(つぎつぎ)と変(か)わった花が生まれたのでしょうか。アサガオ研究(けんきゅう)の最前線(さいぜんせん)をのぞいてみました。 (川合道子(かわいみちこ))

 愛知県岡崎(あいちけんおかざき)市にある基礎生物学研究所(きそせいぶつがくけんきゅうじょ)の温室(おんしつ)で、アサガオが青い花を咲(さ)かせていました。小学校の学習(がくしゅう)でよく育(そだ)てられるアサガオの花より、少し小ぶりです。

 「これは日本のもともとのアサガオで『東京古型標準型(とうきょうこけいひょうじゅんがた)』と呼(よ)んでいます」。教えてくれたのは助教(じょきょう)の星野敦(ほしのあつし)さん(46)。アサガオの謎(なぞ)を解(と)き明かそうと20年以上(いじょう)研究を続(つづ)けています。

 アサガオは、奈良時代(ならじだい)の終(お)わりごろに中国(ちゅうごく)から伝(つた)わり、初(はじ)めは薬草(やくそう)として使(つか)われていました。江戸(えど)時代には目で見て楽しむ植物(しょくぶつ)として、庶民(しょみん)の間で盛(さか)んに育てられるようになりました。

 興味深(きょうみぶか)いのが、その種類(しゅるい)の多さです。江戸時代に書かれた図鑑(ずかん)には、標準型のアサガオとは似(に)つかない色や模様(もよう)、形をした花がいくつも記されているのです。

 変(か)わったアサガオの一部(いちぶ)は人々によって大切に育てられ「今では1500もの品種(ひんしゅ)があります」と星野さん。研究所の温室には、図1のように花びらが細長いものや、花や葉(は)がぎっしり詰(つ)まったサボテンのようなものが栽培(さいばい)されていました。

 でもどうして青色の小ぶりな花から、次々(つぎつぎ)と変わった花が現(あらわ)れるのでしょう。

 「変わったアサガオは、突然変異(とつぜんへんい)によるものです」と星野さん。突然変異とは例(たと)えば同じ青い花からできた種(たね)なのに、まだら模様や本来の形とは違(ちが)う花が現れること。アサガオの細胞(さいぼう)の中にある遺伝子(いでんし)が変わってしまうために起(お)こります。

 花の色や形などは、遺伝子が持(も)っている情報(じょうほう)で決(き)まります。情報は4種の文字で表(あらわ)すことができ、それぞれ決まった順番(じゅんばん)で並(なら)んで文章(ぶんしょう)のようになっています。

 文章の一部が抜(ぬ)けたり、余計(よけい)な文字が入ったりすると、本来の遺伝子の情報がうまく伝わりません。「一文字でも違うと、青色の花が赤くなったり花びらが切れたりする」といいます。

 この突然変異を引き起こす原因(げんいん)となっているのが、「動(うご)く遺伝子(トランスポゾン)」です。アサガオの色や形などを作る遺伝子の中に入ったり出たりして、図2のように遺伝子の働(はたら)きを変えてしまいます。

 星野さんの研究グループは昨年(さくねん)秋、アサガオの情報を読み解くことに成功(せいこう)。4万3000個(こ)の遺伝子の中に、突然変異を引き起こすトランスポゾンが340個あることを突(つ)き止めました。次々と変わったアサガオが生まれる背景(はいけい)には、トランスポゾンの“活躍(かつやく)”があったのです。

 遺伝子(いでんし)の仕組(しく)みの解明(かいめい)が進(すす)むと、今までにないアサガオを作り出せるようになります。星野(ほしの)さんの研究(けんきゅう)グループは「まぼろしの花」と呼(よ)ばれていた黄色いアサガオを再現(さいげん)。江戸時代(えどじだい)の図鑑(ずかん)に描(えが)かれていますが、現在(げんざい)は途絶(とだ)えていました。

 アサガオの謎(なぞ)を解(と)くには変(か)わった花などを見つけ、その遺伝子を調(しら)べます。みんなも同じアサガオからできた種(たね)をたくさんまいて育(そだ)てていると、変わった花が見つかるかも。星野さんは「観察(かんさつ)するだけでなく、どんな遺伝子が働(はたら)いているのかなと考えるのも面白(おもしろ)いですよ」と話しています。

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