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知るコレ!

機能高め鮮度を保つ 食べ物の包装

出荷(しゅっか)を待(ま)つブロッコリー。鮮度(せんど)を保(たも)つ袋(ふくろ)に入れて運(はこ)びます=愛知県田原(あいちけんたはら)市で

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 食べ物(もの)をおいしく味(あじ)わえる期間(きかん)を延(の)ばそうと、食品(しょくひん)の包装(ほうそう)や容器(ようき)が進化(しんか)しています。近ごろは鮮度(せんど)を保(たも)つ機能性(きのうせい)の高い包装を取(と)り入れる農家(のうか)やスーパーも。食べられるのに捨(す)てられてしまう「食品ロス」の削減(さくげん)にもつなげようと、注目(ちゅうもく)されています。 (川合道子(かわいみちこ))

 愛知県田原(あいちけんたはら)市のJA(ジェイエー)愛知みなみ田原集荷(しゅうか)センター。段(だん)ボール箱(ばこ)の中をのぞくと、透明(とうめい)なフィルムの袋(ふくろ)に入ったブロッコリーが、静(しず)かに出荷(しゅっか)を待(ま)っていました。

 普通(ふつう)のポリ袋のように見えますが「野菜(やさい)の呼吸(こきゅう)を抑(おさ)え“冬眠状態(とうみんじょうたい)”になるような工夫(くふう)が施(ほどこ)されています」と田原洋菜部会長(ようさいぶかいちょう)の加藤由貴夫(かとうゆきお)さん(62)。少しでも新鮮(しんせん)な野菜を食べてもらおうと、より鮮度(せんど)を保(たも)つことができる袋を一昨年(いっさくねん)に取(と)り入れたといいます。

 野菜は収穫後(しゅうかくご)も生きて呼吸をしています。酸素(さんそ)を吸(す)って二酸化炭素(にさんかたんそ)を出し、自分の栄養(えいよう)を使(つか)って成長(せいちょう)を続(つづ)けようとします。時間がたつにつれ栄養がなくなり、黄色(きいろ)くなったりしなびたりします。

 ブロッコリーは野菜の中でも呼吸の量(りょう)が多く、暖(あたた)かいこの時期(じき)は、そのままにしておくと数日で黄色くなってしまいます。色が変(か)わると売り物(もの)にならないため、消費者(しょうひしゃ)に届(とど)く前に捨(す)てられてしまうこともあります。

 呼吸を抑えるには「低(ひく)い温度(おんど)に保ち、酸素を適度(てきど)に少なくすることが大切」と加藤さん。袋には目には見えない小さな穴(あな)がブロッコリーの呼吸に合わせて開(あ)けられていて、酸素と二酸化炭素のバランスをほどよくコントロール。黄色に変わるまでの期間は以前(いぜん)の袋より「2〜5日長くなった」といいます。

 名古屋(なごや)市にある農産物用(のうさんぶつよう)の包装(ほうそう)メーカーによると、こうした鮮度を保つ働(はたら)きのある包装を取り入れる農家や植物(しょくぶつ)工場、スーパーなどが増(ふ)えています。最近(さいきん)は共働(ともばたら)き家庭(かてい)などの増加(ぞうか)に合わせ、鮮度を保ちつつ、そのまま電子レンジで調理(ちょうり)できる袋も開発(かいはつ)されました。

 「包装は時代(じだい)を映(うつ)すバロメーター。ただ物を包(つつ)めばいいというわけではなく、さまざまな工夫がされています」。そう話すのは日本食品(しょくひん)包装協会(きょうかい)(東京都(とうきょうと))の理事長(りじちょう)を務(つと)める石谷孝佑(いしたにたかすけ)さん(73)です。

 私(わたし)たちは昔(むかし)から新たな包装や容器(ようき)を作ることで、食べ物を遠くに持(も)ち運(はこ)んだり長持ちさせたりして食生活を便利(べんり)に変えてきました。

 高度経済(けいざい)成長の時代に登場(とうじょう)した常温(じょうおん)で保存(ほぞん)できるレトルト食品は、高い温度での殺菌(さっきん)に耐(た)える袋が開発されたからこそ生まれた食品です。

 最近では米飯(べいはん)や餅(もち)、マヨネーズやしょうゆといった調味料(ちょうみりょう)などが、おいしく味(あじ)わえる期間(賞味期限(しょうみきげん))を延(の)ばしています。例(たと)えばしょうゆ会社の商品(しょうひん)は、開封(かいふう)して30日程度(ていど)で使うことを勧(すす)めていましたが、180日程度に延長(えんちょう)。これは従来(じゅうらい)のペットボトルから、鮮度を損(そこ)なう酸素を包装容器の中に入れないことで実現(じつげん)しました。

 家族(かぞく)の人数が少なくなっていることから、食品を小分けパックにする商品も目立っています。

出荷(しゅっか)を待(ま)つブロッコリー。鮮度(せんど)を保(たも)つ袋(ふくろ)に入れて運(はこ)びます=愛知県田原(あいちけんたはら)市で

 包装(ほうそう)が進化(しんか)する一つの理由(りゆう)が、本来なら食べられるのに捨(す)てられてしまう食べ物(もの)、いわゆる「食品(しょくひん)ロス」の問題(もんだい)です。

 国の農林水産省(のうりんすいさんしょう)によると、日本では売れ残(のこ)りなどで年間約(やく)630万トンの食べ物が捨てられています。

 これは世界(せかい)の飢餓(きが)に苦(くる)しむ人に向(む)けられた食料援助量(しょくりょうえんじょりょう)の約2倍(ばい)。国民一人あたり、ご飯(はん)一杯(ぱい)分の重(おも)さの食べ物を毎日捨てている計算です。

 食品ロスを減(へ)らすには、一人一人が必要以上(ひつよういじょう)の食品を買わないことや食べ残しをしないことなど、無駄(むだ)をなくす工夫(くふう)が大切です。石谷(いしたに)さんは「食べ物をおいしく長持(ながも)ちさせる包装の技術(ぎじゅつ)や役割(やくわり)は、食品ロスを減らす上でも、ますます重要(じゅうよう)になっています」と話しています。

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