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知るコレ!

漁獲量 10年で6割減

袋(ふくろ)の中で育(そだ)ったアサリを見せる間瀬(ませ)さん=静岡県浜松(しずおかけんはままつ)市西区(く)の弁天島沖(べんてんじまおき)のいかり瀬で

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 春に旬(しゅん)を迎(むか)えるアサリ。最近(さいきん)は全国(ぜんこく)で採(と)れる量(りょう)が減(へ)っているそうです。「このままでは日本からアサリが消(き)える」と、アサリを増(ふ)やそうという取(と)り組みも始(はじ)まっています。 (佐橋大(さはしひろし))

 静岡県(しずおかけん)にあり、海水が混(ま)じる湖(みずうみ)、浜名湖(はまなこ)。その中の島(しま)、弁天島(べんてんじま)の沖合(おきあい)の浅瀬(あさせ)では、毎年春から夏に、アサリを採(と)る潮干狩(しおひが)りが行われています。ただ、今年は昨年(さくねん)に続(つづ)き「貝が少ない」として中止になりました。減(へ)った原因(げんいん)は、はっきりしないそうです。

 2015年、漁業(ぎょぎょう)で採られたアサリは全国(ぜんこく)で1万3800トン余(あま)り。10年前に比(くら)べて約(やく)6割(わり)減っています。09年から減りが目立っていて、アサリそのものの減少(げんしょう)が心配(しんぱい)されています。

 日本一アサリが採れる愛知(あいち)県でも、13年からの2年で採れる量(りょう)が約半分に減りました。潮干狩りも、一部(いちぶ)が中止になっています。

 県水産試験場(すいさんしけんじょう)漁業生産研究所(けんきゅうじょ)(愛知県南知多(みなみちた)町)によると、アサリは、干潟(ひがた)から水深(すいしん)5メートルぐらいまでの海底(かいてい)の砂(すな)に潜(もぐ)っています。寿命(じゅみょう)は7年ほどといい、人が食べる大きさに育(そだ)つまで約2年かかります。春から秋にかけ、卵(たまご)を水の中に放(はな)ちます。卵からかえった貝の子ども(幼生(ようせい))は、2〜3週間、海を漂(ただよ)い、砂のある海底にたどり着(つ)き、稚貝(ちがい)になって成長(せいちょう)します。海辺(うみべ)に適(てき)した場所がないと、生き延(の)びられません。

 稚貝のときに海が大きく荒(あ)れると本来いる場所から流(なが)され、数が減ります。愛知県では、13年10月に東海(とうかい)地方を直撃(ちょくげき)した強い台風などが、貝の減った一因と、研究所職員(しょくいん)の黒田伸郎(くろだのぶお)さん(60)は考えています。

 海や湖で植物(しょくぶつ)プランクトンが増(ふ)え過(す)ぎると、それが腐(くさ)って、酸素(さんそ)が少ない水「苦潮(にがしお)」ができ、その水に覆(おお)われて、死(し)ぬこともあります。天敵(てんてき)の巻(ま)き貝ツメタガイや、カイヤドリウミグモという生き物(もの)にたくさん食べられた地域(ちいき)もあったそうです。「複合的(ふくごうてき)な原因で減っている」と黒田さんは説明(せつめい)します。

 弁天島から浅瀬に人を運(はこ)ぶ浜名漁協(ぎょきょう)弁天島遊船組合(ゆうせんくみあい)の組合長、間瀬泰成(ませやすなり)さん(59)は4年前から、アサリを増やそうと、小石を詰(つ)めた網(あみ)の袋(ふくろ)を浅瀬に置(お)いています。石だけを入れた袋なのに、中には4ミリの編(あ)み目より大きなアサリがごろごろ。周(まわ)りの砂地にはいないのに。なぜでしょう?

 貝は、自然(しぜん)に流れ着いたアサリの幼生が袋の中で育ったものです。袋は、貝が大波(おおなみ)に流されたり、魚などに食べられるのを防(ふせ)いでいると考えられています。この成果(せいか)を応用(おうよう)し、もっと大規模(きぼ)にできないかと昨年からは、浅瀬の砂地に直接(ちょくせつ)、縦(たて)3メートル横(よこ)4メートルの網140枚(まい)を敷(し)き、効果(こうか)を調(しら)べています。「この方法(ほうほう)がどこでも効果があるかは分からないが、少しでもアサリを増やしたい」と間瀬さんは期待(きたい)を込(こ)めます。

 潮干狩(しおひが)りや食べる楽しみを私(わたし)たちにもたらしてくれるだけでなく、アサリは、海をきれいにしてくれています。これを、目で見て確(たし)かめる実験(じっけん)を漁業生産研究所(ぎょぎょうせいさんけんきゅうじょ)にしてもらいました。

 植物(しょくぶつ)プランクトンで濁(にご)らせた海水入りのびんを2つ用意(ようい)し、一方にアサリ約(やく)30個(こ)を入れ、約40分。アサリを入れたびんの水は透明(とうめい)になっていました。

 アサリは、貝殻(かいがら)の間から出す管(くだ)を通じて、水を吸(す)い、そこに含(ふく)まれるプランクトンなどを、こし取(と)って食べています。

 研究所主任(しゅにん)研究員(いん)の松村貴晴(まつむらたかはる)さん(46)は「アサリが浜(はま)にいることで、海のバランスが保(たも)たれている」と話します。

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