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知るコレ!

気温の変化から計算 桜の開花予想

花芽(はなめ)を確認(かくにん)する諸原慎之介(もろはらしんのすけ)さん=14日、名古屋(なごや)市北区(く)の志賀(しが)公園で

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 春と言えば、お花見の季節(きせつ)。近年、民間(みんかん)の気象情報(きしょうじょうほう)会社がそれぞれソメイヨシノの開花予想(かいかよそう)を発表(はっぴょう)しています。なぜ開花日を予想できるのでしょうか。仕組(しく)みを探(さぐ)ってきました。 (世古紘子(せこひろこ))

 開花予想(かいかよそう)は気象庁(きしょうちょう)が1955年から2009年まで実施(じっし)していました。最近(さいきん)は民間(みんかん)の気象情報(じょうほう)会社が予想を出すようになり、気象庁は発表(はっぴょう)を取(と)りやめています。予想に出てくる「開花日」とは、各(かく)地方気象台の敷地(しきち)などにある標本木(ひょうほんぼく)に5、6輪以上(りんいじょう)の花が咲(さ)いた最初(さいしょ)の日。予想が民間に移(うつ)った今も、その定義(ていぎ)はほぼ変(か)わりません。

 現在(げんざい)は、民間の約(やく)5社が年明け以降(いこう)に予想を出しています。でもどうやって? 「開花との関係(かんけい)が深(ふか)い『気温(きおん)』を主体(しゅたい)とした複雑(ふくざつ)な計算式(しき)で出しています。各社が独自(どくじ)の式を用いており公表(こうひょう)はしていません」。そう話すのは日本気象協会中部支社(きょうかいちゅうぶししゃ)(名古屋(なごや)市)の気象予報士(よほうし)、諸原慎之介(もろはらしんのすけ)さん(26)。愛知(あいち)、岐阜(ぎふ)、三重(みえ)、静岡(しずおか)の予想を担当(たんとう)しています。

 式に取り込(こ)む気温データは春先の暖(あたた)かくなる時期(じき)だけではありません。「実(じつ)は秋以降の気温変化(へんか)が大事(だいじ)。精度(せいど)が高まります」と諸原さんは説明(せつめい)します。理由(りゆう)は桜(さくら)の生態(せいたい)にあります。桜が花を咲かせるのは春先の約1週間ですが、花のもととなる「花芽(はなめ)」が作られるのは前年の夏から秋。「茶色い花芽は枝(えだ)の一部のように見えますが、ここから花の成長(せいちょう)は始(はじ)まっています」

 その後、花芽は11、12月の初冬に休眠(きゅうみん)に入ります。そして翌年(よくねん)の2月前後、平均(へいきん)気温が5度(ど)くらいと厳(きび)しい寒(さむ)さに一定(いってい)期間さらされると目を覚(さ)まします。「『休眠打破(だは)』と言い、ここから再(ふたた)び成長します」。春に向(む)けて気温が一気に上がれば開花は早く、気温が低(ひく)ければ開花は遅(おそ)くなるというわけです。

 協会は毎週水曜日に予想を発表していますが、最終判断(さいしゅうはんだん)には標本木の観察(かんさつ)も重視(じゅうし)しています。「コンピューターだけでは誤差(ごさ)が出ます。花芽の先がピンク色を帯(お)びたら開花まで1週間など、最終的(てき)には人間の目」。昨年(さくねん)の協会による開花予想の全国(ぜんこく)平均誤差は2・5日でした。今年の東海(とうかい)地方について諸原さんは「寒(かん)の戻(もど)りがあり昨年より花芽の成長は遅い。それでも、ここ数日の暖かな日差(ひざ)しを受(う)けて大体平年並(な)みになりそう」と解説(かいせつ)しています。

 気象情報(きしょうじょうほう)会社は複雑(ふくざつ)な計算式(しき)で予想(よそう)を出していますが、誰(だれ)でも簡単(かんたん)にできる方法(ほうほう)があります。その一つが「600度(ど)の法則(ほうそく)」。手順(てじゅん)は、休眠打破(きゅうみんだは)が終(お)わったとみられる2月1日以降(いこう)の最高気温(さいこうきおん)を毎日足すだけ。合計が600度を超(こ)えた日に開花(かいか)するという経験(けいけん)などから導(みちび)き出された手法です。

 精度(せいど)はどうでしょうか。気象庁(ちょう)が発表(はっぴょう)している過去(かこ)10年間(2007〜16年)の気温データと開花日を基(もと)に、諸原(もろはら)さんが東海(とうかい)地方の3地点を調(しら)べてくれました。

 その結果(けっか)、ピタリと的中(てきちゅう)したのは名古屋(なごや)市が08、14年、三重県津(みえけんつ)市が13、14年の各(かく)2回、岐阜(ぎふ)市はゼロでした。平均誤差(へいきんごさ)は2〜3・2日。諸原さんは「精度が高く当たる年もありますが、中には5〜7日ずれる年があるのが欠点(けってん)です」と指摘(してき)します。

 今年の2月以降の最高気温は、気象庁のホームページや新聞朝刊(ちょうかん)にある気象情報で調べることができます。計算し、実際(じっさい)の開花日と比(くら)べてみると面白(おもしろ)いかもしれません。

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