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知るコレ!

ロッカー設置負担を軽く 宅配の再配達

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 インターネットでの買い物(もの)が気軽(きがる)にできるようになり、宅配(たくはい)の利用(りよう)が増(ふ)えています。でも受(う)け取(と)る人が家にいなくて届(とど)けられず、多くの荷物(にもつ)が「再配達(さいはいたつ)」されていることが、社会問題(もんだい)になっています。トラックを無駄(むだ)に走らせることは配達する人だけでなく、地球環境(ちきゅうかんきょう)にとっても負担(ふたん)。荷物を受け取るためのロッカーの設置(せっち)が各地(かくち)で広がっています。 (川合道子(かわいみちこ))

 福井県(ふくいけん)あわら市を訪(たず)ねると、住宅(じゅうたく)の玄関先(げんかんさき)に荷物(にもつ)を受(う)け取(と)るための「宅配(たくはい)ボックス」が備(そな)え付(つ)けてありました。お米10キロの袋(ふくろ)が縦(たて)に一、二つ入るくらいの大きさ。受け取ったしるしに印鑑(いんかん)を押(お)したり、荷物が盗(ぬす)まれないよう鍵(かぎ)を掛(か)けたりできます。

 市は昨年(さくねん)秋から、住宅設備(せつび)メーカーと協力(きょうりょく)して「宅配ボックス実証実験(じっしょうじっけん)」に取り組んでいます。「夫婦(ふうふ)ともに働(はたら)いている共働(ともばたら)きの家庭(かてい)を応援(おうえん)しようと始(はじ)めました」と市政策課(せいさくか)の赤神貴幸(あかがみたかゆき)さん(36)。福井県の夫婦がいる世帯(せたい)の共働き率(りつ)は56・8%と全国一(ぜんこくいち)の高さ。ボックスは通常(つうじょう)1個(こ)あたり5万〜7万円ですが、仕事(しごと)で荷物を受け取るのが難(むずか)しい約(やく)100世帯に無料(むりょう)で取り付けることにしたのです。

 昨年12月の1カ月間の受け取り状況(じょうきょう)を調(しら)べると、1回目で受け取れずに再配達(さいはいたつ)になった荷物の割合(わりあい)は、設置(せっち)前の49%から8%に減(へ)ったことが分かりました。いつも平日(へいじつ)夜や休日に再配達を頼(たの)んでいた利用者(りようしゃ)の男性(だんせい)(31)は「配達の時間を気にすることなく、子どもとお風呂(ふろ)に入ったり遊(あそ)びに出掛(でか)けたりできます」と満足(まんぞく)そう。

 宅配会社のヤマト運輸広報戦略部(うんゆこうほうせんりゃくぶ)の飯田温(いいだあつし)さん(34)は「荷物を早くお届(とど)けでき、一つでも再配達が減るのはドライバーにとってもありがたいこと」と話します。

 ネットが普及(ふきゅう)するにつれ、通信販売(つうしんはんばい)で商品(しょうひん)を買う人が多くなりました。2015年度(ねんど)に宅配便(びん)で運(はこ)ばれた荷物の数は約37億個(おくこ)。グラフを見ると急増(きゅうぞう)していることが分かります。

 宅配会社の悩(なや)みの種(たね)になっているのが、留守(るす)だった家への再配達です。全体の荷物の2割を占(し)め1年間で9万人分の労働力(ろうどうりょく)が費(つい)やされているといいます。

 さらに心配(しんぱい)されているのが環境(かんきょう)への影響(えいきょう)です。トラックの走行距離(きょり)が長くなると、地球温暖化(ちきゅうおんだんか)の原因(げんいん)となる二酸化炭素(にさんかたんそ)(CO2(シーオーツー))が増(ふ)えます。国の調査(ちょうさ)によると、再配達によって排出(はいしゅつ)されるCO2の量(りょう)は1年間で約42万トン。これを吸収(きゅうしゅう)するには、名古屋(なごや)市の面積(めんせき)の約半分の広さのスギ林が必要(ひつよう)になる計算です。

 駅(えき)や商業施設(しょうぎょうしせつ)など多くの人が集(あつ)まる場所(ばしょ)では、家以外(いがい)で荷物(にもつ)を受(う)け取(と)ることができる宅配便専用(たくはいびんせんよう)のロッカーを設置(せっち)する動(うご)きが広がっています。

 ヤマト運輸(うんゆ)の関連(かんれん)会社は2月末(まつ)から3月にかけ、愛知県内(あいちけんない)のJR(ジェイアール)6駅にロッカーを取り付(つ)けました。今後はコンビニやスーパーなど全国(ぜんこく)5000カ所以上に増(ふ)やす予定(よてい)。「ゆうパック」を手掛(てが)ける日本郵政(ゆうせい)なども各地(かくち)で設置を進(すす)めています。

 こうした動きを国も後押(あとお)ししています。環境省(かんきょうしょう)は4月から、駅など公共(こうきょう)の場所に設置するロッカーの費用(ひよう)を半額(はんがく)まで補助(ほじょ)する事業(じぎょう)を始(はじ)めます。産業(さんぎょう)の盛(さか)んな日本は、一人当たりのCO2排出量(シーオーツーはいしゅつりょう)(石油(せきゆ)や石炭(せきたん)などの化石燃料(かせきねんりょう)を燃(も)やした時に発生(はっせい)する量)が9・4トンと世界平均(せかいへいきん)の約(やく)2倍(ばい)。地球温暖化対策課(ちきゅうおんだんかたいさくか)の担当者(たんとうしゃ)は「再配達(さいはいたつ)を減(へ)らすことは、ドライバーの負担(ふたん)を軽(かる)くするだけでなく、地球環境(かんきょう)を守(まも)るためにも重要(じゅうよう)です」と話しています。

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