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知るコレ!

情報分析し行動を予測 ビッグデータ

ホンダのセーフティーマップを説明(せつめい)する担当(たんとう)の加藤綾(かとうあや)さん=東京都港区(とうきょうとみなとく)で

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 私(わたし)たちは、携帯(けいたい)電話などデータをやりとりできる通信機器(つうしんきき)に囲(かこ)まれ、日々その行動(こうどう)が記録(きろく)されています。こうして集(あつ)められた大量(たいりょう)の情報(じょうほう)「ビッグデータ」を分析(ぶんせき)・活用することに、注目(ちゅうもく)が集まっています。 (古池康司(こいけこうじ))

 自動車(じどうしゃ)メーカーのホンダは、国内で約(やく)180万台ある同社の車のカーナビから送(おく)られてくる走行情報(じょうほう)を基(もと)に、交通安全(あんぜん)の参考(さんこう)になる地図「セーフティーマップ」を作り、2013年からインターネット上で公開(こうかい)しています。

 ポイントは、国内で約30万カ所(しょ)に上る急(きゅう)ブレーキの多発(たはつ)地点です。こうした場所は、今事故(じこ)が起(お)きていなくても、見通しが悪(わる)かったり、歩行者(ほこうしゃ)と標識(ひょうしき)が見えにくかったりと何らかの問題(もんだい)があることが多く、事故を引き起こす危険性(きけんせい)が高いのです。ホンダは福井県警(ふくいけんけい)や長野(ながの)県警などと連携(れんけい)し、道路(どうろ)の標示(ひょうじ)を分かりやすくするなど交通安全対策(たいさく)に活用しています。

 みなさんに関(かか)わりのある通学路の安全チェックに活用する地域(ちいき)もあります。セーフティーマップ担当(たんとう)者の加藤綾(かとうあや)さんは「情報のもともとは、たくさんの運転手(うんてんしゅ)の行動(こうどう)の積(つ)み重(かさ)ね。『みんなの力』で作る安全マップなんですよ」と教えてくれました。

 インターネットの入り口にあたる大手ポータルサイト「YAHOO(ヤフー)! JAPAN(ジャパン)」を運営(うんえい)するヤフーでは、ページを探(さが)すときに使(つか)う検索(けんさく)窓(まど)に打(う)ち込(こ)まれた言葉(ことば)(検索ワード)を分析(ぶんせき)しています。その数は年間約100億(おく)パターン。どの地域から検索したかという情報と絡(から)めれば、選挙(せんきょ)の結果(けっか)やインフルエンザの感染状況(かんせんじょうきょう)などが高い精度(せいど)で予測(よそく)できるそうです。

 そもそも検索するのは、その情報が足りていないから。同社で分析を担当する池宮伸次(いけみやしんじ)さん(38)は「検索ワードは、人々が何を考えているかを知ることができる価値(かち)のあるデータなんですよ」と話します。

 検索ワードの分析は、災害(さいがい)対策にもなります。東日本大震災(だいしんさい)や熊本(くまもと)地震発生後、「給水(きゅうすい)・炊(た)き出し」「ガソリン」「店舗(てんぽ)の営業(えいぎょう)情報」などと必要(ひつよう)な情報が移(うつ)り変(か)わることが浮(う)かび上がりました。一方で、市役所(しやくしょ)や地元新聞社、水道、ガス、電気など常(つね)に検索される言葉もありました。こうしたデータから、震災時、市や町などの自治体(じちたい)が提供(ていきょう)すべき情報の適切(てきせつ)な時期(じき)や内容(ないよう)が推(お)し量(はか)られます。

 データをやりとりし、記録(きろく)する機器(きき)が発達(はったつ)したことで、人間の行動(こうどう)パターンの分析(ぶんせき)も進(すす)んでいます。携帯(けいたい)電話を持(も)てば「どこにいるか」、マナカなどのIC(アイシー)カードを使(つか)えば「どの駅(えき)を通ったか」。こうした情報(じょうほう)の集積(しゅうせき)がビッグデータとなり、日々増(ふ)え続(つづ)けています。20世紀(せいき)までに人類(じんるい)が残(のこ)した情報の何百倍(ばい)もの情報が、1年間で集(あつ)まっているといわれるほどです。

 検索窓(けんさくまど)に「学校」と入力すると「学校の怪談(かいだん)」などと変換(へんかん)の予想(よそう)が出てくるのも、本を買うと「この本も」と薦(すす)めてくるのもデータの力。過去(かこ)のパターンから、未来(みらい)を推測(すいそく)しています。ビッグデータはビジネスや医療(いりょう)などさまざまな分野への活用が期待(きたい)できます。

 ただ、中央(ちゅうおう)大の岡嶋裕史准(おかじまゆうしじゅん)教授(きょうじゅ)(情報ネットワーク)は、暮(く)らしが便利(べんり)になる半面(はんめん)、人間の行動が「分かりすぎる」ようになることに不安(ふあん)を感(かん)じています。

 データが集まり、推測の精度(せいど)が上がるほど、「君(きみ)はこういう人間だね」とデータに誘導(ゆうどう)される仕組(しく)みができかねません。ビッグデータは過去の積(つ)み重(かさ)ね。未来あるみなさんに岡嶋准教授は「たとえ間違(まちが)っても、自分で考え、決(き)めることを大切にしよう」と話します。

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