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知るコレ!

マナー教えて笑顔生む 野球で国際貢献

守備練習(しゅびれんしゅう)に励(はげ)むサンホ・ラシィナ選手(せんしゅ)(右)=高知県越知(こうちけんおち)町で

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 3月6日に野球(やきゅう)の国際(こくさい)大会「ワールド・ベースボール・クラシック」(WBC(ダブリュビーシー))が開幕(かいまく)します。これを機(き)に、日本でも人気スポーツの野球と、世界(せかい)との関連(かんれん)を調(しら)べると、国際貢献(こうけん)につながる一面(いちめん)が見えてきました。 (那須政治(なすまさはる))

 四国(しこく)の独立(どくりつ)リーグに所属(しょぞく)する高知(こうち)のサンホ・ラシィナ内野手(19)は、西アフリカ・ブルキナファソ出身(しゅっしん)の俊足選手(しゅんそくせんしゅ)です。昨季(さくき)は主(おも)に一塁手(いちるいしゅ)として39試合(しあい)に出場して打率(だりつ)2割(わり)4分(ぶ)7厘(りん)、1本塁打(ほんるいだ)、打点11。「課題(かだい)は打撃(だげき)。今季はもっと三振(さんしん)を減(へ)らしたい」と話します。2013年に初(はつ)来日してテストを受(う)け、再挑戦(さいちょうせん)を経(へ)て翌年練習生(よくねんれんしゅうせい)に。15年夏に選手契約(けいやく)を結(むす)びました。仲間(なかま)から「ラッシー」と呼(よ)ばれ、日本語もペラペラです。

 11歳(さい)の時、母国で野球教室に誘(さそ)われました。競技(きょうぎ)自体を知りませんでしたが、「思い切りボールを投(な)げ、バットを振(ふ)り回すのが気持(きも)ちよい」。上達(じょうたつ)することが楽しく、毎日練習に通いました。

 その時のコーチは、日本政府(せいふ)が派遣(はけん)した日本人指導(しどう)者(しゃ)でした。ラシィナ少年は日本でプロ野球選手になることを夢見(ゆめみ)て、懸命(けんめい)にボールを追(お)いました。「野球が自分の運命(うんめい)を変(か)えた」

 日本政府は、アジアやアフリカなどの経済的(けいざいてき)な発展(はってん)のためとして、毎年150億(おく)ドル以上(いじょう)のお金や技術力(ぎじゅつりょく)を援助(えんじょ)しています。その中心を担(にな)うのが東京(とうきょう)の国際協力機構(きょうりょくきこう)(JICA(ジャイカ))です。200近い分野の専門家(せんもんか)を派遣する「青年海外協力隊(たい)」が有名(ゆうめい)で、これまでに約(やく)4万2000人が赴任(ふにん)しました。

 多くの隊員(たいいん)は学校・病院(びょういん)・電気などの社会基盤(きばん)の整備(せいび)、技術者や医師(いし)など現地(げんち)の専門家の育成(いくせい)などを担当(たんとう)。一部(いちぶ)はスポーツ指導者として派遣され、野球は1970年から昨年末(まつ)までに計305人が33カ国に渡(わた)っています。競技別(べつ)では“お家芸(いえげい)”の柔道(じゅうどう)(422人)に次(つ)ぐ多さです。

 野球の指導は、現地に何をもたらすのでしょう。JICA協力隊事務局(じむきょく)の田中章久(たなかあきひさ)さん(49)は「野球の普及(ふきゅう)や競技力向上(こうじょう)以外に、世界的(せかいてき)に評価(ひょうか)される日本のマナーや心構(こころがま)えの指導が期待(きたい)されます」と話します。

 ラシィナ選手も日本の野球から「時間や約束(やくそく)を守(まも)る、先輩(せんぱい)を敬(うやま)う、自己犠牲(じこぎせい)を払(はら)う心を学んだ」と言い、「それまでは、あまり意識(いしき)しなかった」と笑(わら)います。

 愛知県春日井(あいちけんかすがい)市の通信制(つうしんせい)高校サポート校職員佐藤雅史(しょくいんさとうまさし)さん(39)は、ヨーロッパのハンガリーで代表(だいひょう)チームや子どもに野球(やきゅう)を指導(しどう)した元協力隊員(きょうりょくたいいん)。相手(あいて)が捕(と)りやすい球(たま)を投(な)げるキャッチボールの意味(いみ)や守備(しゅび)のカバーなどを通して、「仲間(なかま)を思いやる心も教えました」。

 野球の指導では、医療(いりょう)や食料(しょくりょう)の不足(ふそく)など現地(げんち)の重要問題(じゅうようもんだい)は解決(かいけつ)できません。佐藤さんも「自分は国に貢献(こうけん)できているのか」と悩(なや)みました。そこで着目(ちゃくもく)したのが、スポーツが、現地の娯楽(ごらく)の少なさを補(おぎな)うこと。初安打(はつあんだ)した教え子の興奮(こうふん)ぶりなどを例(れい)に、「スポーツは、やる人も見る人も夢中(むちゅう)に、笑顔(えがお)にさせる力がある。これは何事(なにごと)にも代(か)えられない意義(いぎ)です」と話しました。

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