トップ > 特集・連載 > 知るコレ! > 記事一覧 > 記事

ここから本文

知るコレ!

見えない障害 伝える

かばんに付(つ)けたヘルプマークを見せる如月(きさらぎ)まぁやさん=東京都江東区(とうきょうとこうとうく)で

写真

 世(よ)の中には、一見、平気(へいき)そうでも、大変(たいへん)なつらさを抱(かか)え、人の助(たす)けや思いやりが必要(ひつよう)な人がいます。そんな人の存在(そんざい)を知らせる手段(しゅだん)の1つが「ヘルプマーク」です。無料(むりょう)で配(くば)る自治体(じちたい)が増(ふ)え、岐阜県(ぎふけん)も4月以降(いこう)に配布(はいふ)することを検討(けんとう)しています。 (佐橋大(さはしひろし))

 東京都(とうきょうと)に住(す)むシンガー・ソングライターの如月(きさらぎ)まぁや(本名・岡田真綾(おかだまあや))さん(23)は普段(ふだん)から、赤地に白抜(ぬ)きの十字とハートが描(えが)かれた「ヘルプマーク」をバッグに付(つ)けて持(も)ち歩いています。マークは横(よこ)5.3センチ、縦(たて)8.5センチ。ほどよく柔(やわ)らかい素材(そざい)でできています。

 如月さんは、健康(けんこう)そのものに見えますが、常(つね)に激(はげ)しい痛(いた)みと闘(たたか)っています。高校1年生のときから、線維筋痛症(せんいきんつうしょう)を患(わずら)っているのです。「血管(けっかん)が痛みを感(かん)じるとしたら、その中をガラスの破片(はへん)が通っているような痛み」だそうです。だるさもずっと続(つづ)き、風やバスの揺(ゆ)れでさえも痛みとして感じます。外出すると翌日(よくじつ)は、ぐったりしてしまいます。そんな大変(たいへん)さをさりげなく周(まわ)りに伝(つた)えようとヘルプマークを付けています。

 ヘルプマークは「外見からは分からなくても、助(たす)けが必要(ひつよう)な人」がいることを知らせようと、都が2012年に作りました。「このマークを見たら、電車やバスの席(せき)を譲(ゆず)ったり、困(こま)っているようなら声を掛(か)けたり、思いやりのある行動(こうどう)をしてください」と都の担当者(たんとうしゃ)は呼(よ)び掛けます。

 都は地下鉄(ちかてつ)の駅(えき)などで、必要な人にマークを配(くば)っています。病気(びょうき)の人や、失(うしな)った足の代(か)わりに義足(ぎそく)をつけている人、膝(ひざ)などの関節(かんせつ)を金属(きんぞく)でできた関節に置(お)き換(か)えている人らに、昨年(さくねん)7月末(まつ)までに、約(やく)1万3000個(こ)を配りました。

 如月さんは席を譲ってもらったことはありませんが、都には「優先席(ゆうせんせき)に座(すわ)っていても、このマークのおかげで事情(じじょう)が伝わり注意(ちゅうい)されなくなった」という話が義足や人工関節の人から伝えられています。

写真

 マークを取(と)り入れる自治体(じちたい)は増(ふ)えています。昨年(さくねん)は、京都府(きょうとふ)や和歌山(わかやま)、徳島(とくしま)、青森(あおもり)、奈良(なら)の各県(かくけん)が配(くば)り始(はじ)めました。神奈川(かながわ)県は3月までに配布(はいふ)を開始(かいし)する予定(よてい)です。

 似(に)たマークは他(ほか)にもあります。兵庫(ひょうご)県は2011年、ヘルプマークと同様(どうよう)の趣旨(しゅし)で「譲(ゆず)りあい感謝(かんしゃ)マーク」を作りました。人の形にハートと十字を組み合わせた「ハート・プラスマーク」は、内部障害(ないぶしょうがい)の人、つまり心臓(しんぞう)などに重(おも)い病気(びょうき)を患(わずら)う人を表(あらわ)します。民間団体(みんかんだんたい)が03年に設(もう)けました。このマークのある駐車場(ちゅうしゃじょう)の障害者(しゃ)用スペースは、内部障害の人も使(つか)えることをはっきりさせる印(しるし)です。「マタニティマーク」は妊娠(にんしん)している女性(じょせい)を表す印。おなかが大きくなくても、具合(ぐあい)が悪(わる)くなり、立ったり話したりするのさえつらい人もいます。

 マークの違(ちが)いはあっても、共通(きょうつう)で流(なが)れるのは、「目に見えない困難(こんなん)を分かってほしい」という願(ねが)い。東京都(とうきょうと)の担当者(たんとうしゃ)は「マークを通じて、さまざまな生きづらさを分かり合える社会にしたい」と話します。

 

この記事を印刷する

新聞購読のご案内

PR情報

地域のニュース
愛知
岐阜
三重
静岡
長野
福井
滋賀
石川
富山

Search | 検索