トップ > 特集・連載 > 長寿しなの 彩食記 > 記事一覧 > 記事

ここから本文

長寿しなの 彩食記

<第8部 これも食べるよ> (6)カラス 

上田市が有害鳥獣として捕獲したカラス=上田市内で(同市提供)

写真

 おとりのフクロウ近くに置いたえさにカラスが寄ってきた。身を潜めていた男性が網で捕らえた。皮を剥ぎ、骨ごと石でたたいて、ひき肉にしていった。

 上田市で食べられていた「カラス田楽」を紹介する一九六五年のテレビ映像。市マルチメディア情報センターで閲覧でき、同市の元テレビ局社員清水卓爾さん(78)は「当時の生活を知ることができ、後世に残す価値がある貴重な映像」と語る。

 上田市誌によると、カラス田楽は、カラスの肉を骨ごとつぶし、おからなどと混ぜ、五平餅のように串に刺して焼き、山椒(さんしょう)みそを付けて食べる。四五年ごろまで同市踏入地区に店があり、五、六羽つるされていた。

 清水さんも高校生だった五六年ごろに「カラス田楽」と書かれたあんどんを上田駅近くで見た記憶がある。

カラス田楽の再興を目指す清水さん=上田市で

写真

 特色ある郷土食を地域おこしにつなげようと、清水さんは二〇一三年、市西部公民館の市民講座で、テレビ映像を参考にカラス田楽を鶏肉で作ってみた。翌一四年には県職員の協力で調達したカラス肉を使って再現した。

 試食した人から「(カラスも)思ったよりはおいしかった」との感想が聞かれた。清水さんは「下処理に失敗し、鶏肉の方がおいしかった。しっかり血抜きをすればカラス田楽は市販でき、全国にアピールできる」と手応えを感じ、商品化の夢を思い描く。

 「カラスの肉は評判いいですよ。何度も食べに来る人もいる」と語るのは、茅野市でフランス料理店を営む日本ジビエ振興協会理事長の藤木徳彦さん(46)。

 二十世紀初頭のフランスでカラスが食べられていたと料理本で知った。藤木さんも狩猟期の冬季にカラス肉を定期的に仕入れ、ステーキやミートパイを自身の店で出している。

清水さんが市民講座で再現したカラス田楽=上田市西部公民館で

写真

 カモ肉などの野鳥は市販の鶏肉より弱火でじっくり焼くが「カラスは野鳥よりも弱火でじっくり焼く必要がある。うまく調理すれば、おいしいですよ」と勧める。

 カラスの食肉化に向けた研究もする宇都宮大学(宇都宮市)特任助教の塚原直樹さん(38)=動物行動学=は「高タンパクで低脂肪。鉄分に加え、タウリンも多く含んでいる」と指摘する。

 農産物を食べたり、ごみを散らかしたりとカラス被害は全国でみられる。「獣害として捕獲しているが、食材として利用できれば有効活用になる。カラス田楽のような伝統食が復興すれば、食肉化が進むきっかけになる」と期待する。

 (高橋信)

 =第8部終わり

 

この記事を印刷する

新聞購読のご案内

PR情報

地域のニュース
愛知
岐阜
三重
静岡
長野
福井
滋賀
石川
富山

Search | 検索