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長寿しなの 彩食記

<第1部 海なし県の魚たち> (6)サバ缶文化

◆たけのこ汁 相性抜群

サバとネマガリダケを使った「サバタケ」。PRする湯本さんも鍋を前に笑顔がこぼれる=山ノ内町で

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 「海がないから、脂がのった海の魚に憧れるんだよ」。山ノ内町の道の駅「北信州やまのうち」の湯本富佐司店長(58)は、人気商品「サバタケ」を前にこう話す。

 サバタケは、サバとネマガリダケをみそで煮込み、缶に詰めた商品。北信の家庭に浸透しているサバの水煮缶を使ったたけのこ汁の味を、簡易に食べられるパッケージにしているのが売りだ。

 六月中旬〜七月上旬に地元住民が志賀高原産のネマガリダケを採り、手作業で下処理。こくがある信州みそで仕上げてある。

 町総合開発公社が二〇一一年に開発。毎年八月から売り切れるまで、店頭や通販で売る。缶詰なら季節を問わず楽しめる。買いだめる人もいるのか、発売日に完売した年もあるという。一五年には、カレー粉入りサバタケも商品に加わった。

 サバタケが好調とはいえ、本家である家庭のたけのこ汁の地位が揺らぐ様子はない。北信では毎年、ネマガリダケが旬となる初夏、サバ缶が売り切れるスーパーやコンビニが相次ぐほどだ。

 コンビニ大手のセブン−イレブン・ジャパンによると、県内店舗のサバ缶の売上数は近年、全国平均の約二倍。ネマガリダケの旬の六月は、平均の約十倍で全国一位という。

 一三〜一五年の総務省の家計調査によると、魚介の缶詰に支払う一世帯当たりの額は、全国の県庁所在地と政令指定都市で、長野市が三位。やはり、たけのこ汁用にサバ缶を買う人が多いのが影響しているとみられる。

 湯本店長は「キシュキシュしたタケノコの食感と、サバ独特のうま味のバランスが良い。ツナ缶やサケ缶じゃ満足できないんだよ」と解説する。

初夏の味覚として高い人気を誇るネマガリダケ(山ノ内町提供)=山ノ内町で

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 サバ缶が活躍するのは、たけのこ汁だけではない。中南信でも、大根と一緒に煮物の具になったり、肉の代わりにカレーライスに使われたりと、年間を通じて食卓に溶け込んでいる。

 寒天製品の「伊那食品工業」(伊那市)が昨秋、米と一緒に炊けば出来上がる、具入りの「炊き込みご飯の素」シリーズに新たに仲間入りさせたのは、しょうゆとショウガをきかせた「さば飯」だ。

 「郷土の味を、何とかラインナップに入れたかった」と広報担当の女性社員。安定したサバ缶文化を土台にした新商品の成長に期待する。(竹田弘毅)

 <北信のたけのこ汁> 山ノ内町の関係者によると、かつて身欠きにしんなどが具材の主流だったが、昭和30年代以降、比較的安価なサバ缶が定着したとされる。ネマガリダケは、雪深い山間地に生える細いタケノコで、和名チシマザサ。採りたてはあくが少なく人気。旬の時期は採取のため山に入って遭難する人が目立つ。

 

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