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長寿しなの 彩食記

<第1部 海なし県の魚たち> (4)岡谷・寒の土用うなぎ

◆冬のスタミナ源発信

背開きで、蒸さずに焼くのが特徴の岡谷のうなぎ。たれは全体的に甘めで濃厚=岡谷市で

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 香ばしい匂いが食欲をかき立てる。日本のスタミナ食の定番「うなぎ」。夏バテ予防にと、夏の土用丑(うし)の日にかば焼きを食べる風習が定着しているが、本来、ウナギの旬は冬場。岡谷市は「寒の土用丑の日」発祥の地を掲げ、厳しい寒さを乗り切る地元の名物として全国に発信する。

 そもそも冬場のウナギは産卵や冬眠に備えて栄養を蓄え、脂の乗りがいい。岡谷のかば焼きは、背開きで蒸さずに焼く関東風と関西風のミックス。甘めの濃厚なたれをまとわせ、素材を引き立てる。

 岡谷のうなぎの歴史は三百年を超えるといわれ、長い伝統がある。

 「昔から住民にとって、身近でありながら、栄養があって食べると元気になる神秘的な存在だった」。うなぎ店や川魚店でつくる「うなぎのまち岡谷の会」初代会長の小松善彦さん(89)は言う。

 諏訪湖ではかつて、天然のウナギが大量に捕れた。天竜川を稚魚が遡上(そじょう)して湖内で成長。産卵で川へと下るウナギを捕獲した。

 一九二六(昭和元)年には三十八トンもの漁獲量を誇った。うなぎ専門の飲食店が少ない時代。川魚店でかば焼きを買い、家庭で食べるのが一般的だった。

 しかし、天竜川のダム建設の影響で諏訪湖産のウナギは年々減少。六〇年代後半になると諏訪湖の水質悪化が問題化した。

 「伝統の食文化を残さないと」

 地元の川魚店組合の組合長だった小松さんは、安全・安心を前面に、当時から仕入れていた県外の養殖ウナギの特売を組合員に提案した。七四年に各店が売り出して大盛況。その後も継続した。取り組みはやがて商工団体を巻き込み、「まちの活性化に」と、うなぎのまち岡谷の会が九六年に発足する。

「うなぎのまち」をけん引してきた小松さん=岡谷市で

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 消費が落ち込む冬場に目を向け、二年後に定めたのが「寒の土用丑の日」。年によって日付は異なり、今年は一月二十六日だ。

 毎冬開いている「寒の土用うなぎ祭り」はいま、多くの来場者でにぎわい、うなぎのまちとしての認知度は高まった。活動は、静岡県三島市など全国のウナギの産地にも広がりつつある。

 会は発足から二十年。次に目指すものは−。そんな問いに、小松さんは歴史の重みをかみしめるように語った。「お客さんが満足し、価値があると感じるうまいうなぎを、ずっと提供していくことだ」(中沢稔之)

 <寒の土用うなぎ祭り> 2月11日に岡谷市民総合体育館で開く。恒例のミニうな丼販売は、限定1000食(予定)で各800円。午前10時に整理券を配るが、例年30〜40分で“完売”する。うなぎのまち岡谷の会発足20周年を記念し、午後2時から開くタレントのさかなクンの講演は1月10日までにはがきで聴講を申し込む。(問)同会事務局=0266(23)4854

 

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