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長寿しなの 彩食記

<第2部 寒さ生かす知恵> (2)凍り豆腐

◆健康食 日本一の産地

包装工程に向かって流れる凍り豆腐=飯田市の旭松食品で

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 縄で縛られた豆腐がすだれのようにつるされ、住宅の軒下で風に揺れていた。佐久市矢島地区では毎年一〜二月、冬の伝統食として「凍り豆腐」を作り続けている。

 佐久市などによると、戦国武将の武田信玄が敵将の上杉謙信を攻めるため佐久地方に侵攻した際、矢島城主が寒さで凍った豆腐を出した。信玄が「美味」と褒め、兵糧や保存食として重宝し、矢島地区に凍り豆腐が広まったという説がある。

 凍り豆腐は寒風でカチコチに凍った豆腐を乾燥させて作られる。食感が変わり、保存が利く。

 昔ながらの製法が残る県内は国内大手メーカーが居並ぶ日本一の産地。県によると、年間九千トン近くが生産され、国内シェアの九割以上を占める。

 そのトップメーカーは飯田市に本店と工場を構える旭松食品。工場ではまず大豆から豆腐に加工。氷点下の凍結室で風を当てながら約三時間凍らせる。凍った豆腐は、熟成室と呼ばれる低温の部屋に移し二〜三週間置く。

民家の軒先につるされ、風に揺れる凍り豆腐=佐久市で

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 伝統製法にはないが、旭松食品では炭酸カリウムを添加する工程が加わる。担当者は「加工液に浸すことで柔らかさを維持できる」と話す。その後は乾燥させて仕上げる。

 同社などによると、凍り豆腐はカルシウムや鉄分を豊富に含む。血中の悪玉コレストロールや中性脂肪上昇を抑え、糖尿病を予防する効果もあるという。

 健康面の研究が進んで効果が知られ始めているが、平沢公夫工場長(52)は「この二十年で存在感が薄くなってきた。主婦の多くが調理法を知らないのでは」と危惧。凍り豆腐の粉末も販売し、ハンバーグやケーキに入れるなど和食以外の調理法を紹介する。

 「『食卓になくてもいい』と思われないようPRしていきたい」。暮らしに欠かせない健康食にしようと模索している。(竹田弘毅)

 <凍り豆腐> 豆腐を寒気などで凍結し、乾燥させた食品を指す。東日本では「凍(し)み豆腐」とも呼ばれ、西日本では鎌倉時代に高野山の僧侶が作ったとされることから「高野豆腐」が一般的だ。かつては国の日本農林規格(JAS)規格で「凍り豆腐」の名称に定められていた。地域によって呼び名が違い全国的なPRが難しいことから、全国凍豆腐工業協同組合連合会(長野市)は数年前から名称を「こうや豆腐」に統一し、普及を図っている。

 

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