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ロボカップ2017名古屋世界大会

<ロボットのいる世界> (下)アマゾンの倉庫

商品が詰まった棚を載せ倉庫内を動き回る「アマゾンロボティクス」=川崎市内で

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 アマゾンのネット通販に注文が入ると、首都圏の物流拠点である川崎市内の自社倉庫で、商品を収納した四角い棚が走りだす。スタッフがいる出荷ステーションに近づくと、まるで人のように列をつくり、静かに順番を待った。

 欧米に続いて昨年、日本で初導入した倉庫ロボットのアマゾンロボティクスだ。商品棚「ポッド」と、ポッドを動かすロボット掃除機のような「ドライブ」の組み合わせ。スタッフは自走してきた棚から商品を取り出したり、棚に入れたりする。

 当日お急ぎ便など迅速なサービスが売りのアマゾンにとって、出荷作業は時間との闘い。棚が自ら寄ってくるから、広い室内でスタッフが行き来する手間は減る。吉田憲司センター長(46)は「お客さまの注文を出荷時間ぎりぎりまで待てる」と意義を説明する。

 それでも商品をつかんで棚に出し入れする作業は人の手に頼っている。この出し入れ作業の自動化技術を求め、アマゾン側は二〇一五年からコンテストを開き、昨年のドイツからロボカップと併催している。

 ことしの名古屋開催は「アマゾン・ロボティクス・チャレンジ」の名称で、日米独など十カ国・地域の十六チームが事前の審査を通過して参加する。自前のロボットを使って、一定時間内に指定された商品をどれだけ正確につかみ、移動できるかを競う。

 三菱電機は中部大、中京大と組んで出場する。名古屋製作所で製造業向けロボットを生産しており、物流業界への対応強化も模索している。同社先端技術総合研究所(兵庫県尼崎市)の関真規人(まきと)氏(48)は「課題を知りたい。また出るからには優勝したい」と話す。

 過去二回は六位が最高。製造現場で決まった部品をつかむのとは勝手が違う。洗剤やペットボトル、菓子袋など、日用品の形や大きさ、素材は千差万別だ。関氏は「ロボットが3Dカメラで正確に商品を認識し、最適な方法でつかむのは難しい」と明かす。

 取り出す商品はあらかじめ指定されているため、スマートフォンなどを組み立てるロボットに、赤ちゃんが言葉を覚えるように商品の特徴と名前を学ばせている。ディープラーニング(深層学習)という手法だが、今回は競技直前に指定商品が追加される。実際の作業のように即断力も問われ、難度が高い。

 大会責任者のジョーイ・ダラム氏は「当社の課題への解決策を促す絶好の機会。より幅広い品ぞろえ、より迅速な配達を可能とするには、ロボティクス技術が鍵となる」と話す。アマゾン側は賞金総額二十五万ドル(約二千七百万円)を用意するほど力を入れている。

 物流業界はネット通販の拡大で取り扱い荷物が急増している。ロボットの投入で出荷作業の効率が上がっても、消費者に商品を届ける運転者の不足が解消されるわけではない。

 戦略物流コンサルタントの角井亮一氏は「やがてロボットが自動運転で配送する時代が来る。そこで初めて問題は解決される。しかし、時間はかかるだろう」とみる。

 自ら判断して動く意味で自動運転車もロボットだ。姿も働きもさまざまな“隣人”と暮らす未来は、少しずつ近づいている。

 (今村節、鈴木龍司が担当しました)

 ロボカップ名古屋世界大会(中日新聞社共催)は二十七〜三十日、名古屋市港区のポートメッセなごやなどであり、観覧ができる。一日券は千二百円(前売り千円)、四日間通し券は二千四百円(二千円)。高校生以下無料。前売り券は二十六日まで、主要コンビニ、中日新聞販売店などで販売。

 

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