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高浜再稼働 全国知事アンケート

中間貯蔵、拭えぬ不安 受け入れ前向きはゼロ 

 二十九日に予定される関西電力高浜原発3号機(福井県高浜町)の再稼働を前に、中日新聞が実施した全国知事アンケート。高浜原発が再稼働した場合、喫緊の課題となる使用済み核燃料の中間貯蔵施設の受け入れについて尋ねたところ、議論の糸口すら見いだせない現状が見えてきた。 

 受け入れを明確に拒否したのは九府県の知事。福島第一原発事故を経験した福島県の内堀雅雄知事は「(受け入れは)あり得ない」との立場を強調。山形県の吉村美栄子知事も「原発立地県でない上、避難者を受け入れ、風評被害が払拭(ふっしょく)されていない」と事故の影響を訴えた。

 東京電力柏崎刈羽原発が立地する新潟県の泉田裕彦知事は「既に首都圏への電力供給のため原発を抱え、一定の社会的責任を果たしている」と回答した。高浜原発に近い京都府の山田啓二知事は「関電は府内の立地はあり得ないと明言している」。徳島、香川、高知の四国三県の知事は「南海トラフ地震が予測されている中、安全性の確保に懸念がある」などと答えた。

 熊本県の蒲島郁夫知事は「県民の安全・安心の観点から受け入れがたい」と断言。沖縄県の翁長雄志知事は「原子力による電力の供給を受けておらず、県民の理解を得られない」と説明した。

 各知事の考えには自然災害への懸念のほか、立地や電力供給の有無といった原発との距離感が反映されているが、立場が違っても受け入れが難しい点では一致している。

 また、選択肢から選ばなかったため、無回答となったが、三重県の鈴木英敬知事は「受け入れる考えはない」と用紙に記入した。二〇一二年に受け入れを検討したことがあるという奈良県の荒井正吾知事も「使用済み核燃料は船舶での輸送が必要となり、港湾施設を持たない本県は『適地ではない』と結論づけた」と述べた。

 このほか、中部電力浜岡原発がある静岡県の川勝平太知事は「まずは関西電力管内での設置場所の確保を図るべきだ」。埼玉県の上田清司知事は「中間貯蔵は再処理されることを前提とした一時保管であり新たな中間貯蔵施設の建設は使用済み核燃料問題の先送りだ」と、最終処分まで一体的に議論する必要性を訴えた。

 一方で、受け入れの可能性を示唆した知事は皆無。受け入れの前提として「県民の不安の払拭」(富山・石井隆一知事)などを求める声も目立ったが、福島第一原発の事故を経た現在、それは極めて困難といえる。

◇国任せは無責任だ

 <伴英幸・原子力資料情報室共同代表の話> アンケート結果からは、中間貯蔵施設に対する自治体の理解が進んでいないことが読み取れる。政府は使用済み核燃料対策を進めると言っているが、なかなか難しいのではないか。原子力政策については、国任せの回答が多く無責任だ。福島第一原発事故では、自治体がなくなりかねないほどの事態になった。それを国任せでいいのか。再稼働を判断した地元の福井県知事は、あらゆる機会で同意した理由を説明するべきだが、全ての設問に無回答というのは誠実さがなく、責任放棄だ。

◆脱・原発依存の声 目立つ

 今後の原子力政策について尋ねたところ、国や事業者の責任などとして主体的な判断を避けた回答が多かった。原発依存度の低減や、再生可能エネルギーの拡大を求める意見も、中部地方を中心に相次いだ。

 原発が立地する十三道県でみると、青森、宮城、福島、茨城、石川、島根、愛媛、佐賀、鹿児島の九県の知事が国の責任・関与による政策決定を求めた。福島県の内堀知事は「福島第一原発事故の現状を教訓に、住民の安全・安心の確保を最優先に国の責任で検討すべきだ」と回答し、県内では「全基廃炉を国と事業者に求めている」と答えた。石川県の谷本正憲知事は「国において、将来を見据えしっかりと対応してもらいたい」と主張した。

 その他の立地県では新潟県の泉田知事が「まずは福島事故の検証・総括を行うべき」とした。北海道の高橋はるみ知事は「多様な構成とすることが必要」と述べ、静岡県の川勝知事は「将来的には原子力依存から脱却する方向に舵(かじ)を切るべき」と脱原発依存の考えを示した。

(福井報道部・塚田真裕、鈴木あや、尾嶋隆宏)

 

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