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鉄道まるっと切り抜き帳

来年3月お披露目へ修復作業 アルピコ交通所有のED301

外観の修復がほぼ終了した電気機関車「ED301」=松本市新村のアルピコ交通上高地線新村駅で

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電気機関車のヘッドライトを手入れする岩崎さん(右)と立川さん=松本市新村のアルピコ交通上高地線新村駅で

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 アルピコ交通(松本市)が所有する1926(大正15)年製の電気機関車の修復作業が進んでいる。修復を呼び掛けた同社の男性社員は亡くなったが、鉄道ファンの仲間が遺志を継いで2013年5月から取り組んでいる。故障で走らせることは出来ないが、外観や内装を往時の姿に戻し、来年3月のお披露目を目指す。   

 同社によると、電気機関車は米国のボールドウィン社とウエスチングハウス社が製造。当初、信濃鉄道(現JR東日本)が貨物列車のけん引車として採用した。1956(昭和31)年に岳南鉄道(現岳南電車・静岡県)に払い下げられた後、西武鉄道(埼玉県)に譲渡され、60(同35)年にアルピコ交通上高地線の前身・松本電気鉄道に譲渡された。

 上高地線では、「ED301」と名付けられ、ブレーキや高電圧運用対応などの改造をして、貨物列車のけん引や除雪で活躍。新型車両の導入で役目を終え、2005年に廃車となった。

 その後は同線新村駅(松本市新村)の引き込み線で保管されていたところ、同線で運転士などを勤めていた当時30代の男性社員が12年に修復を申し出た。

 男性社員は東京都内の大学職員岩崎直彦さん(58)ら6人に参加を呼び掛けたが、計画づくりの最中に急病で死去。計画も立ち消えになりかけたものの、13年3月に同駅で開かれた同社の「上高地線ふるさと鉄道まつり」で、岩崎さんらから男性社員の思い出話や修復計画を聞いたアルピコ交通鉄道事業部の隠居哲矢部長が、「愛着を持ってくれるのはありがたい」とゴーサインを出した。

 6人だった修復の仲間は次第に減り、現在は途中から加わった愛知県豊橋市の会社員立川康史さん(44)と岩崎さんの2人で取り組んでいる。

 屋外に置かれていた車両は、水がたまって鉄の腐食が進行。さびた鉄が炭化してもろくなり、車体側面には穴が開いた部分もあった。作業は1カ月に1、2日で、直した部分で再度不具合が出るなど劣化との戦いだが、なくなっていた鉄板をとめるリベットも再現するなど、可能な限り原形に近づくよう努めている。

 16年11月頃に外観の修復をほぼ終え、現在は内部の修復に取り掛かっている。来年3月までに作業を終え、同月の鉄道まつりで晴れて披露したいという。

 岩崎さんは「男性社員と絶対直そうねと約束した。なんとしても果たしたい」と力を込めている。

(川添智史)

 

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