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鉄道まるっと切り抜き帳

名鉄の赤色が絶滅危惧車に 「銀色」ステンレスに入れ替え、全体の半分に

名鉄で真っ赤な車両(左)が減り、銀色のステンレス製(中)が増えている。JR東海の在来線もほぼ全てがステンレス製=名古屋市中区で

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 「赤い電車」のイメージが定着している名古屋鉄道で、新旧車両の入れ替えが進み、銀色のステンレス製が増えている。鋼鉄に伝統の真っ赤な塗装を施した車両は2018年度当初時点で、全体のほぼ半分に減った。メンテナンスのしやすさやコストを削減できることなどが理由だが、慣れ親しんだ人たちには「寂しい」と残念がる声もある。 

 名古屋市内のホテルで6月末にあった株主総会で、男性株主が質問に立った。「銀色の電車ばっかりになっちゃって寂しく思う。名鉄と言えば、やっぱり赤い電車が沿線の人たちも自慢だ」と指摘し、今後の見通しを尋ねた。社側は「パノラマカーを代表にスカーレット(深紅色)が定着していた」と認めた上で、「塗装の車はさびや腐食の防止がなかなかできない」とメンテナンス上の難点を指摘。残る赤い電車も老朽化でさらに引退が進むと説明した。

 名鉄によると、現在の営業用車両は全1072両。このうち、小牧線を最初に02年4月から導入を始めたステンレス製車両は現在、23%の248両に増える一方、真っ赤な塗装の鋼鉄製は54%の582両に減った。これとは別に、白と青の中部国際空港発着特急「ミュースカイ」用は48両、白地に赤い線が入った主に特急に使う車両は194両。

 名鉄の他の路線と直接つながっていない瀬戸線は沿線の塗装施設が廃止され、14年に鋼鉄製車両が完全に姿を消した。名鉄は18年度にステンレス製などの新車をさらに22両導入する予定で、真っ赤な車両は廃車が進む。関係者は「赤い電車は絶滅危惧種だ」と話した。

 さび止め塗装が不要のステンレス車両は、鋼鉄製に比べて製造にかかる期間が短い上、軽くて消費電力も少ないため経済的。増加は全国的な傾向といえる。国鉄時代は鋼鉄製が多かったJR東海は、JR西日本と共同で運行する寝台特急「サンライズ」用14両を除く在来線約1200両が全てステンレスに。東海道新幹線の車両はアルミ合金製。JR東日本も置き換えを進め、山手線、中央線の通勤電車など9割がステンレスかアルミ合金になった。

 ただ、ステンレス製の車体をあえて塗装してイメージの維持に努める鉄道もある。東京都と神奈川県を結ぶ京浜急行電鉄(京急)は今年1月、最新の車両を伝統の「赤と白」のペンキで塗ってデビューさせた。「費用がかかり重くなるが『京急色』を守るのが心意気です」。広報担当者は得意げに語った。

(中野祐紀)

◆時代の流れやむを得ず

 「名古屋鉄道 今昔」の著書がある交通ライター徳田耕一さんの話 寂しいが、時代の流れでやむを得ない。首都圏の人口が多い地域を走る京急とは収益力に大きな違いがあり、「ステンレスに塗装を」と名鉄に求めるのは難しい。2027年のリニア中央新幹線開業の好影響などで乗客が増え、名鉄が豊かになれば、一部の象徴的な特急で「赤い電車」を復活させてくれると期待する。

 

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