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鉄道まるっと切り抜き帳

武豊に国内で唯一現存の直角2線式転車台  ボランティアガイド石黒さん推薦の観光スポット

鉄道文化をいまに伝える直角二線式の転車台=武豊町道仙田で

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 武豊町には、国内で唯一現存する直角2線式の転車台があります。1901(明治34)年に建設されたライジングサン石油(現在の昭和シェル石油)の油槽所から、石油類を鉄道で運ぶため、出入りするタンク車(貨車)を方向転換するために使われました。

 いまは海岸が埋め立てられ、発電所や工場が並んでいますが、当時は油槽所のすぐそばに輸出入の拠点となる港がありました。この港と名古屋市の熱田駅を結ぶ県内初の鉄道が1886年に開業。水深が深く、大型船も停泊できるため、英国から運ばれてきた東海道線建設の資材を運搬することが目的でした。鉄道が整備されたことで輸入した石油や石炭、大豆、塩などもここから各地に運ばれ、町の発展にも寄与しました。

 転車台は、旧国鉄が1927(昭和2)年に設置しました。石油類の輸送量の増加に伴い、タンク車が大型になったためです。10トン積みのときはタンク車の停車場から油槽所まで敷かれていた専用線路に沿って人力で押して運んでいましたが、20トン積みは車体が長く、カーブを曲がりきれなくなりました。

 直径7・25メートルの転車台はレールが十文字に交差しています。中央部分の地下に軸があり、円形に沿って8個の滑車が取り付けられています。タンク車を載せ、はみ出た車体を2人か4人で押すことで効率的に方向を変えることができました。

 転車台があった武豊港駅は、輸送手段が鉄道から車に変わっていったことで、昭和40年代に廃止になりました。周辺の土地は鉄鋼メーカーが買収し、フェンスに囲われて放置されました。

 99年、総合学習で近くを散策していた地元の武豊小5年生が、フェンス越しに転車台を発見し、町に保存を要望。町は転車台と周辺の土地を買収し、広場として整備しました。2009年には国の登録有形文化財になりました。

 いまだに鉄道の産業遺産が残っていることを誇らしく感じます。われわれの世代にこんなものがあったと、後世に伝えていけたらと思っています。(聞き手・大槻宮子)

    ◇

 いしぐろ・ゆきお 武豊町道仙田生まれ、在住。山口県の錦帯橋で、地元のガイドボランティアの案内を受けた経験から「話を聞きながら街歩きすると分かりやすい」と実感。町の良さを伝えたい、と2010年に町観光ガイドボランティアの養成講座を受講。11年5月に町観光ガイドボランティア協会が発足して以来、会長を務める。

 武豊町道仙田9の8。JR武豊駅から徒歩15分。(問)町観光協会(商工会内、平日)=0569(73)1100。観光ガイドボランティアは事前予約が必要。申し込みは観光案内所(土日、月の前10〜後3)=0569(77)9474=へ。

 

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