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鉄道まるっと切り抜き帳

待たれる、観光向け定期運行 1973年廃線の遠山森林鉄道

雨の中、森林鉄道跡を歩く。岩がむき出しのトンネルにしずくが落ちた=飯田市南信濃で

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 沢を越えると、ひっそりとトンネルが眠っていた。

 ノミとハンマーで岩を穿(うが)った手掘り。闇の中から、大木を満載した列車のごう音が聞こえてくるようだ。

 遠山森林鉄道は戦時中、現在の長野県飯田市の南部で運行を始めた。浜松市などとの県境近く、南アルプスが水源の急峻(きゅうしゅん)な川沿いに30キロ余。周辺で伐採したブナやカツラを積んだ。貨車12両を連ねて山を下り、材木は各地へ向かった。

 発着点だった麓の遠山郷は昭和30年代、飲食店や映画館まで立ち並んだものだ。だが、林業の衰退で「林鉄」は1973(昭和48)年に廃止。一帯に分校を含めて8校あった小学校は今、2校しかない。

 子供の頃に憧れた雄姿を復活させようと、元郵便局長前沢憲道さん(69)が、仲間と市民団体を立ち上げたのは2011年のこと。

 野ざらしだったディーゼル機関車は、エンジンを交換。貯木場の跡地にレールを敷設し、走らせた。市内の高校生たちも協力し、ついに昨年、周回コース(350メートル)が完成した。

 「地域の歴史を次世代に伝えたい」。観光客向けの定期運行が次の目標だ。

 線路は続く、時を超え。

  写真・佐藤春彦

   文 ・牧野良実

 

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