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鉄道まるっと切り抜き帳

待合室は図書館 JR飯田線佐久間駅

佐久間駅と併設する佐久間図書館。司書が列車に手を振ると、車掌が恥ずかしそうに手を振り返した=浜松市天竜区佐久間町で

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 ガタン、ゴトン…。銀色の電車が、夕焼けに染まる小さな駅舎に滑り込んだ。

 浜松市天竜区のJR飯田線佐久間駅は、長野県境から7つ目の駅だ。全国でも珍しく、市図書館の分館が併設し、待合室を兼ねる。

 「今日は、どんな人が乗っているかな」。同館の臨時職員北野谷啓代(あきよ)さん(44)が作業の手を止め、窓越しに乗客の表情を眺めた。

 沿線の住民に寄り添うように走る飯田線は愛知、静岡、長野の3県にまたがる約200キロ。うち旧佐久間駅を含む前身の1つ、三信鉄道の70キロ弱が最後に開通したのは、1937(昭和12)年のことだった。

 暴れる天竜川沿いに、切り立った峡谷が次々と連なる難所。危険極まりない測量を託されたのが、北海道の鉄道敷設で実績のあった技師川村カネト(1893〜1977年)らアイヌ民族の一団だ。差別に屈さず、ついに鉄路をつないだ。

 後年、酔うとうれしそうに当時を振り返ったカネトを、長男兼一さん(66)=北海道旭川市=は懐かしむ。

 「飯田線にはおやじの魂が宿っている」

 全線開通から80年。山の向こうから、明日はどんな香りを運んでくるだろう。

  写真・佐藤春彦

   文・牧野良実

 

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