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鉄道まるっと切り抜き帳

「秘境駅」で切符を手売り46年 古虎渓駅の今井さん

長年切符の販売業務などに携わっている今井さん=JR古虎渓駅で

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 多治見市の山間部にあるJR古虎渓駅で、地元に住む今井妙子さん(74)=諏訪町=が切符販売を担当して46年。無人駅になるのを避けたい地元の要望を受け、市の委託を受けて働く。業務の傍ら利用客と気さくに言葉を交わし、時には人生相談にも応じるなど、小さな駅の「顔」となっている。 

 周囲が緑に囲まれ、下に土岐川が流れる同駅は、「秘境駅」として鉄道ファンの人気が高い。近くに団地もあり、昨年の1日あたりの乗降客数は約1000人だった。

 今井さんはミニバイクで自宅から通う。時間は10分足らず。仕事は週6日、午前9時から午後4時まで。所用があれば抜けることもあるが、窓口で中央線、太多線、東海道線の切符を手売りする。

 今井さんが働き始めたのは1971(昭和46)年。旧国鉄が駅の無人化を発表したところ、治安や安全性の観点で地元住民から不安の声が上がった。市が地元住民に業務を委託することとなり、今井さんに白羽の矢が立った。「家族が知らない間に決めていました。それまでの仕事は和裁。最初は恥ずかしくて、お客さんに『ありがとうございました』と声を掛けることもできなかった」と振り返る。

 しかし、窓口の奥の部屋に連れてきていた幼いわが子に声を掛けてくれたことがきっかけで、徐々に利用客との交流が生まれた。誤って古虎渓駅で降りてしまった外国人に乗り換え案内ができずに困っていた時、なじみの男性客が通訳してくれるなど「お客さんに恵まれた」と感謝する。一方で、仕事や人間関係などの相談をされることもあり「今井さんと話していると幸せな気分になります」とお礼のメールも。

 30年以上前から駅を利用している市之倉町の主婦中村直美さん(67)は「駅が温かい雰囲気になる。ずっといてもらいたい」と願う。今井さんは「元気で働けるうちはここでがんばりたい」と笑顔を見せた。

(秦野ひなた)

 

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