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鉄道まるっと切り抜き帳

近江鉄道の伝道師 鉄道フォトライター・辻良樹さん

近江鉄道の走行車両を前にカメラを構える辻良樹さん=日野町内で

写真

 「ガチャコン」の愛称で親しまれ、来年に開業120年を迎える近江鉄道。車窓から昔なつかしい近江の風景が楽しめる、そんなローカル私鉄の魅力を伝えようと、写真と文で全国へ発信している。近江鉄道へ人一倍の愛情と情熱を注ぐ。 

 少年時代、自宅近くのJR東海道線(琵琶湖線)を走る列車を眺めて過ごした。鉄道好きになるのは自然の成り行き。鉄道関連のPRを手掛ける広告会社に就職して冊子の編集などを手掛け、25歳でフリーになった。全国の鉄道にまつわる記事を多数執筆してきた。

 近江鉄道の魅力に気づいたのは20代後半になってから。当時、仕事の拠点を置いていた東京から帰省するたびに乗った。近江米の田んぼが広がる風景、白壁の米蔵が立ち並ぶ集落など、「昔ながらの近江の里の景色が残っている」と再発見した。

 「腰を据えて、近江鉄道について書こう」と思いも募り、30歳でUターン。鉄道誌や旅行誌などからの依頼取材で全国を回る中、地元の図書館などで近江鉄道の調べ物もじっくり続けてきた。取材でさまざまなエピソードを掘り起こすのは楽しみの1つだ。

 例えば、近江鉄道にかつてあった米原と伊勢を結ぶ計画。現在ではあまり知られていないが、「近江鉄道をもって近江・北陸路と伊勢を結ぶ最短路ならしめる」とのスローガンが同社にあった。壮大な夢は昭和恐慌などが原因でかなわなかったが、「実現していれば沿線人口も環境も今とは全く異なっていたはず」と想像する。

 20年以上にわたって蓄積してきた知識を生かし、今月から、沿線ツアーのガイドにも初めて挑んだ。県外からの参加が県内からを上回り、「近江鉄道が経済効果を生み出す観光資源でもあると実感できた。沿線の活性化にも貢献したい」と力を込める。

 今年から交流サイトフェイスブック上のファングループ「ガチャコンズ−近江鉄道応援隊」の管理人も引き受け、活動の幅の広さは“伝道師”そのもの。「鉄道ファンや沿線住民に限らず、旅行の目的として近江鉄道を選び、ぜひ乗ってほしい」と願っている。

(角雄記)

 つじ・よしき 1967(昭和42)年、東近江市(旧能登川町)生まれ。広告会社勤務を経てフリーのライター・カメラマンとなり、図鑑、児童書、専門誌などに執筆、撮影する。「関西鉄道考古学探見」(2007年)など著書も多数ある。「1冊もない」という近江鉄道だけをテーマにした単行本の出版を目指している。

 

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