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鉄道まるっと切り抜き帳

安いうまい…大きい! JR我孫子駅「弥生軒」の唐揚げそば(千葉)

ボリュームたっぷりの唐揚げが人気の弥生軒の「唐揚げそば」=千葉県我孫子市のJR我孫子駅で

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昼食時には店の外まで列が=千葉県我孫子市のJR我孫子駅で

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 唐揚げのお化けだ。器から飛び出さんばかりのきつね色の塊に、思わず息をのんだ。幅15センチにもなる。1個に鶏もも肉半分も使っている。食べきれるか不安だったが、難なく完食できた。最初はサクッとしている唐揚げも、つゆが染みてくるとしっとりに。そばもスルスルといけた。

 千葉県我孫子(あびこ)市のJR我孫子駅構内の立ち食いそば店「弥生軒」。1杯400円の名物「唐揚げそば」を求め、昼時は店の外まで列ができる。男性向き「がっつり飯」と思われがちだが、列には女性観光客や親子連れの姿も。5人入れば満員の店内を出て、ホームで唐揚げをかじりつつ麺をすする人も少なくない。

 週1回は欠かさない同市の会社員日暮(ひぐらし)哲浩さん(32)は「腹持ちがいいのが何よりの魅力。唐揚げを濃いめのつゆに浸して食べるのがうまい」。同県栄町の会社員玉川健二さん(32)は18歳の時から通い、駅に来れば必ず寄る常連。2日連続で来店し、「行きも帰りも食べる日もある。僕みたいな人、結構いますよ」。

 何が彼らの胃袋をつかむのか。秘密は、代々の社長が引き継いできた「安くておいしいものを」の経営理念と、丁寧な調理にある。

 1928年の創業時は弁当販売からスタート。67年に立ち食いそば店を開いた。唐揚げそばは90年代末にメニューに入れた。

 つゆも麺も唐揚げも、駅前の本社内にある工場で丁寧に生産する。唐揚げはできたてを提供するため、混む時間帯を狙って6回に分けて作る。多い日は1800個近くが出る。つゆは産地直送のかつお節のだしで、麺は粉から作る。

 3代目社長の植崎和基(かずもと)さん(57)は「大きい肉がウリ。衣でかさ増しするな、とスタッフに徹底している」。発売当初、唐揚げは若干小さめだったが、「お客さんに喜んでほしいと、だんだん大きくした。ただ材料費の問題もあり、これ以上は無理」と話す。

 弥生軒は、放浪の画家・山下清(1922〜71)がかつて働いた場所として知られる。「食うには困らないから」と勧められ、戦中の42年から5年間、住み込みの従業員として過ごした。清の絵が店の弁当の包み紙に使われていた時期もあったという。

 半年に1度は無断で旅に出た清をおおらかに受け入れていた弥生軒。かつて食糧難の時代に1人の画家を空腹から救った店は、時を超え、働き盛りの会社員や食欲旺盛な学生のおなかを満たしている。

 (今川綾音)

◆弥生軒

 JR我孫子駅構内に3店舗あり、営業時間が最も長い1、2番線ホームの店は、午前7時〜午後11時45分(閉店は土曜同10時半、日曜同9時半)。唐揚げそばは1杯400円、唐揚げ2個入りは540円。売り切れ次第終了。問い合わせは同店=(電)04(7182)1239=へ。

 

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