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三重県鈴鹿市の給食中止問題 (鈴鹿通信局・山本克也)

中止になる予定だった昨年12月20日、2学期最後の給食を配膳する子どもたち=三重県鈴鹿市の小学校で

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 ああどうも、鈴鹿通信局のやまかつです。実はうちの“かみさん”がね、この話、ぶっちゃけ言うと、ワタシより先に知ってたんです。そう、新聞記者なのに、自分のワイフにネタを抜かれたってわけ。

 どういうことかって言いますとね、去年の十一月の初めごろ、本社からの電話で、鈴鹿市(三重県)の読者から、こんな情報提供があったぞって。で、その内容が、市内の小学校で給食を中止にするってことなんです。受話器を置いて、もしかしてと思って聞いたら、子どもが学校で渡されていたプリントを見せられましてね。そう、裏付け資料も家内の方が先だったんですわ。

◆野菜の価格高騰

 概要なんですがね、野菜の価格高騰で、小学校と幼稚園の給食を二日間中止するって話なんです。で、うちは中学一年の長男を除いて、小五の次男、小二の長女、市立幼稚園の次女と、計三人分の弁当を作んなきゃならんってことで、家内は「仕方がないわねえ」とあきらめつつも「間に合わせのものでも食べさせてくれると助かるけど」とも、言ってましてね。

 ところが、末松則子市長(46)は「市教委の拙速な判断で混乱を招いた」と、直ちに撤回を指示したんです。子育て政策に力を入れていただけに。三重県内の読者を対象に実施した「中日ボイス」でのアンケートでも、中止決定に約七割が「ほかの手段を考えるべきだった」と回答してたんです。

 まあ、刑事コロンボなら、ここで犯人をしつこく追及していくんでしょうが、ワタシャ争いごとがきらいでね。で、よくよく聞いてみると、リーマン・ショックの影響で二〇〇九年度にも取りやめたことがあって、そのときも市教委の判断で中止し、保護者からの苦情は特段なかったっていうんです。

 だからって、前例踏襲で仕方ないじゃないかというつもりはないんですがね、そもそもなぜやりくりが厳しくなったのか聞いてみるとですね、三十の市立小学校のうち、十九校は自前で給食をつくり、残りの十一小学校と四幼稚園は学校給食センターを利用する体制で、昨年三月末時点で赤字校は十九校中五校だった。ところが、夏の台風や天候不順で野菜の価格が高騰し、九月時点で赤字は十七校と給食センターに拡大し、全体の収支も、三日分の給食に相当する九百十八万円の赤字となった、というんです。

 鈴鹿市の小学生の給食費は月額四千百円で、県内の他市と比較してさほど高くない。それでも年度途中での給食費の引き上げは保護者の理解が得られにくいと判断したんですな。

 給食の献立は、食物アレルギー対応も踏まえて、保護者や栄養士の代表らでつくる検討委員会が全校共通で数カ月先まで決め、急な変更をしたこともないというんですね。朝食をまともにとれず、不規則な食生活となる家庭も目立っているみたいで、栄養価の高い学校給食が果たす役割を重くとらえて、まあ、「間に合わせのもので」という感覚にはなれなかったというわけなんでしょうな。

 うちのワイフにこんな話をしたら、「弁当作りの大変さを分かってない」としかられそうですな。

 あともうひとつ。

 「昨年はいろいろあったが、あえて申し上げない。報告・連絡・相談といった当たり前のことを積み重ねて」

 これ、今年の仕事始め式での末松市長の訓示なんです。要するに、この話は庁舎内の連携も悪かった、という話なんですな。ワタシのところにも、実はいろいろな読者から「教委と市長サイドの連携が普段からとれていないのでは」といった声が届いていましてね。風通しの良い環境づくりが重要なのは、鈴鹿市役所だけに限ったことではないですからな。

 ああすいませんが、あともうひとつだけ。

◆費用節約努める

 結局、中止の予定だった昨年十二月二十日と一月十二日の給食はちゃんと食べることができましてね。普段の献立も、安価な鶏肉を使うなど費用の節約に努めるようにしたそうです。まあ、雨降って地固まる、ということで。

 家でも、農産物がどう作られ、そこに自然を相手にしなければならない苦労があるとか、そんなことを子どもと話す機会になったなあ、と話したりしてるところですよ。まあ、本業でネタをワイフに抜かれて、偉そうなことを言うのもなんですがね…。

 

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