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みえびとの肖像

第39回 横山稔子(75) 行商人

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◆玄関先 ちょうどいい

荷物の積み降ろしは重労働。体への負担も大きい=津市芸濃町で

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 夫と二人三脚で始めた食料品の行商を、夫の死後も続ける。軽トラックに商品を積み、鈴鹿と津市内の得意先の家を回る。五十年前は働き盛りだった客は今、買い物に出掛けることができない体に。月日とともに、役割は重くなっている。

 新婚の頃は夫が運転する車の荷台に乗って行商した。演歌を流すと客は自然と集まった。「うるさいと怒ってきた人も、お得意さんになってる」

 量販店が台頭してもやり方は変えなかった。「スーパーは広すぎる。これくらいがちょうどいいさ」。玄関先まで売りに行き、足腰の弱い高齢者の命をつなぐ。

 立ち話で客の不調を察することも多い。「寿命は仕方ない。悲しいけど、くよくよしてたら仕事にならない」。がん治療のため六月末でいったん休業する。待っている客を思うと心苦しい。「楽しい人生だった。できることなら一生続けたい」

 写真・文 大橋脩人

 <よこやま・としこ> 津市芸濃町在住。香川県三木町で生まれ育ち、23歳で県内に嫁ぎ、夫とともに行商を始める。得意先は約400軒ある。

市街地から山里まで、軽トラで食料品を売り回る=同市安濃町で

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